モノポリーシリーズ アイネクライネ

2

「キスはしないでおくよ」
 触れそうなほど近づいた志朗の唇が藍音の唇に触れることもなく、すっと横を掠めて首筋に落ちた。
「……あっ……んっ」
 何でこんなことになったのかと、首筋に落ちる志朗のキスに戸惑いながらも、志朗が丁寧に確認するように藍音の体を開いていくので、藍音は酷いことをされるわけではないと思い直した。
「ん……はっ」
 志朗は何度も首筋にキスをしていってから藍音の服を脱がしにかかる。
 お酒の酔いは消えたと思っていたけれど、恐怖で遠ざかっていただけで、頭の回転が鈍ったままだったのは後で分かる。
 藍音は志朗に身体中を触られて撫で回されて、壁に押しつけられた。
「は……あっ……ん、待って……あんっ」
 シャツを捲り上げられて、素肌を手で撫でられ丁寧に身体を解された。
そのままでは立っていられず、藍音の足の力が抜けると志朗が素早く支えてくれて、藍音をベッドに寝かせてくれる。
 藍音はゆっくりと寝かされて、志朗に乳首を吸われながらペニスまで出されて扱かれる。
「ぁあ……っ! ぁ、ああ、ぁ……っ」
 丁寧な追い上げ方に藍音は思わず喘ぐ声が口から漏れた。
 マズいことに志朗は 上手い。
 慣れているかのように乳首を舌で舐めて転がし、さらにはペニスを上手く扱いてくる。
「あぁっぁあ……っ、ひ、ぅ……っ、ゃぁ、っふ、ぅ、あ……っぁあ……っ」
どうしたって声が消せない。
「あっ!? あっ……っぁあ!」
 思わず高く上がってしまう声を抑えようと口を塞ぐと、その手を志朗の手によって外される。
「声、殺さないで。無理矢理しているわけじゃないから、声を上げても問題ないだろ?」
 そう志朗が言うのだけれど、藍音は文句を言う。
「んんん……っ! んん……っはっ、はっずかしい……んだっ……も、も、あ……っ」
「いつもそんなに照れてるのか?」
 そう志朗に言われてしまい、藍音は首を振る。
 何故だろうか、志朗に聞かれるのが恥ずかしい。他の誰とセックスをするよりも何故か恥ずかしいと思う。
 それはどういうことなのか分からないけれど、セックスをしようと思ってきたわけでもなかった状況から急にそうなったことで恥ずかしさがいつも以上にあるのかもしれない。
「あぁ……っ、ゃ、ああ……っゃ、や……っ、──っ!」
「……そう、良い感じに身体もほぐれてきた、そのまま気持ちよくなってて」
「あっふ……ぇ……、はっ……は……っ、も、ああ……っぁっあっ……」
ふんわりとした雰囲気になってきて、ただ藍音は志朗によって身体を気持ちよくさせられていく。
「ああ、あぁ……っ! ぁ、ゃ、ゃあ……っあっ! ぁ……っぁっ……!」
そうしているうちに、藍音のアナルに志朗の指が入り込んでくる。
「んっ……んぁ、ぁ……っゃ、ぁ……っあ、ああ、あ゛……っ!」
コンドームを用意していたのか、それを指に填めてその中を広げていく。その指がいいところを擦り上げていくから藍音の声も止まらない。
「あっふ……あ、うう……っあっ、あ……っ……!」
「ああ、慣れてるのは本当のようだな。解れやすい」
「あっは……ぁ……ああっ……あっあっ、や、やぁ……っや、あああ……っ!」
友人の友人という関係でしかないのに、助けて貰ったらセックスをする羽目になったなんて、藍音は困ってしまう。
 これでは成り行きでセックスをしてしまった壱伽たちと変わらない。
 もしかしなくても、愚かなことをしているのだろうかと藍音は不安になる。
 壱伽たちはまだいい。宮辻は壱伽に惚れていただろうから。でも自分たちはただセックスをするだけなのだ。
 そこに他の人との違いはないはずなのに、藍音は何か違う気がした。
「あっぁ、あっ、ぁっ、ぁっ……あ、んっ、んっ、んぅ……っ」
「良い感じに解れてきた……」
「あ……はっ、ぁっ、ああぁ、や、……っやっ……だ……っ!」
「ここってことか。こうやって掻いてやると」
 指を突き挿入て中を抉るように指を動かすと、藍音の腰が跳ね上がる。
「あ……あぁ……あ……ぁあっ……ん、ふぅっ……あっあっ」
目の奥が真っ白な感覚が襲ってきて藍音は身体を反らす。
「あ、は……あぅ、あうぅ……そんな……もう……やら……」
「もうちょっとな……」
どこまで解し続けるのかと藍音が訴えるけれど、志朗は慌てた様子もなくひたすら中を広げていく。
「んんっ……は、あー……っ、んっ……あぁっ……あ……くぅ、あぁっ」
「もしかしてだけど、最近誰ともやってない?」
「ああっ、あっ、な、なんで……あっ……く、ふう、ううぅん……っ」
「奧が全然解れてないから、手前だけ弄って遊んでるだろ? このあたりが好きな感じ?」
浅いところでいいところを擦られて、藍音はそれに腰を揺らせて喘ぐ。
 そこを志朗は弄り倒して、藍音を絶頂に導いていく。
「も……っ、だめ、それ……っはあっ……だめ……あぁ、あんっ……っ!!」
 まさかまだペニスも入ってない状態でイカされるとは藍音も思わず、そのまま絶頂をしてしまう。
精液を吐き出して絶頂をすると、やっと志朗の指が出ていってくれる。
「ああぁ……っ、んあっ、はぁ、はぁうっ……」
どうしようもなく気持ちよくイカせて貰い、藍音は涙が浮かんだ瞳で志朗を睨むも、志朗はそれに笑顔を浮かべるだけだ。
「さて、本番はこれからということで……挿入ってくれるといいのだけど」
 志朗がそう言うので何がと思いながら藍音が見ると、志朗が服を脱いでいる。
 着やせするんだなというのが第一印象で、その次に目に入ったのはコンドームを付けている大きな志朗のペニスだ。
「……ちょっと……大きすぎない?」
そう藍音が言うと志朗はコンドームを填めたペニスを見せつけて言うのだ。
「デカいよ。このせいであんまりセックスできない。基本的に女の子には嫌われるペニスなんだよな」
「……ああ、大きすぎると……痛いっていうね……」
「だから俺は男しか抱かない。性癖がどうこうじゃないんだよ。こいつを満足させてくれるのはアナルだけなんだけど、女の子でアナルに填めると大抵目覚めて別れることになってね」
 志朗がそう言うので藍音は何でと志朗に先を促す。
「何でかMになって、もっと刺激を求めて刺激が足りないと言われる。簡単に言うと、セックスに溺れてもっと先が見たくなるらしい」
 志朗の言葉に藍音は少しだけ考えてしまう。
 それはセックスによって生まれ変わってしまったというやつではないだろうかと。
「さて、藍音は変わるのか、それとも……」
 志朗は藍音の足を広げてその間に入り、コンドームを付けたペニスをアナルに当ててくる。
 どう変わるのかを見たいと言われた気がして藍音は焦ってしまう。
「ま、待って…ああぁ……っ、あっ……あぁ――……」
 挿入る訳もないと思っていた志朗の大きなペニスが、藍音の中に圧迫感とともに入ってくる。
「あっあぁ……あ……はあぁ……あっ……」
 ズルズルと挿入ってくる志朗のペニスを感じて、藍音はただ身体を振るわせた。
 ペニスが挿入ってくる感覚にここまで感じるのは久々だった。圧迫感で内壁が締まり、それだけでも快楽が得られてしまった。
「んん……っ、あ……ああぁ――……っ!!」
 ただ奥までペニスを挿入れられただけで、藍音は精液を吐き出して絶頂をしてしまった。
「……トコロテンとか、可愛いな、藍音。それじゃ……こっちも楽しませてもらおうか……」
 志朗がそう言い、奥まで突き挿入れたペニスを一気に引き抜いてからまた突き挿入てきた。
「ふぁあ、あんん……っひ、やぁあ! ああ……っ」
ただ数回内壁を擦り上げられただけで、藍音は溜まらなく感じた。
 快楽は一気に襲ってきて、アナルで感じるようになってから何年も試してきたはずの誰よりも志朗のペニスが気持ちが良いと思った。
それは藍音の理性を一気に奪い去ってしまい、藍音は嬌声を上げ始める。
「あっひ……あっあっあっあんっうあっああああっあ゛あああっ……らめぇっ、ん゛ああっ、おち○ぽ大きいっあっひっい゛っいっ……っ」
 藍音の変貌に志朗は一瞬だけ腰を止めてくれたけれど、次の瞬間口元が笑ったと思ったら、強引に腰を動かし始めた。
 その強引さと奥まで届くペニスに、藍音はもう嬌声が止まらなかった。
「あ゛あああぁんっ……らめっやらっあああんっ……あんあんあんあんっあっい゛っあっあ゛っあああっ」
「ああ……奧がいいのか……届いてるよなここっ」
奧の奧を突き上げてくる腰使いに、藍音は身体を震わせながら喘ぎ、悶えて乱れた。
 ここまで感じるのは初めてで、しかも奧に届いてそこばかりを突き上げられるペニスを持っている人とのセックスはあまり経験がない。
 だからなのか、こじ開けられた奧がどうしようもなく感じてしまい、藍音はただ嬌声を上げて怖がる。
「ああああっ……やめっ、ああっそこっ、おま○こ奥っだめっあっああんっだめっ当たってぅっ! 硬いおち○ぽで突かないでぇっ! あひっい゛っんあああっ」
「大丈夫、これくらいはまだ序の口だ……藍音の奧の奧は今回は遠慮しておくけど、ここまで届くんだぞ、覚えておいて」
 そう言うと一回だけ志朗は藍音の結腸までを突き上げてきた。
 それはとんでもない快楽を身体に与えて、藍音は悲鳴を上げた。
「やああぁっ……もうやらっおち○ぽやらっ……んひぃっん゛あああっ……やぁっあひっんっあああっあ゛ああっんっあっやっ……ん゛んっ……おま○こ壊れる……ああんっ」
「ははっ……おま○こって言うんだな……誰に教えられたのか知らないけど……そのセンスだけは褒めてやる……でも……」
 志朗はそこで何かを言った。
 それは藍音の喘ぎ声で遮られて聞こえなかったけれど、志朗は腰を振りながら藍音の乳首も弄って、更に藍音の身体に快楽を与えてくる。
「あっあっあひっあへぇっ……あっあんっあんっん゛んっあぁんっ……それ、だめっ、あっいっひぁっあ゛っんっふ……」
 さすがに志朗が自分が振られる理由は、相手がもっと快楽を見たいと言って別れるというだけのことはある。
 藍音を抱いてきた男たちの中で、志朗が一番藍音を抱くのが上手かった。
 気持ちが良いところを何度も擦り上げてくるのは強引であるが、藍音はそれが好きだった。あまりに藍音が喘いでしまうので、藍音を抱いた男たちは少し引く。
 けれど、志朗は遠慮無しに突き上げてきて、藍音のそうした部分まで曝け出させる。
 どういう権利があってこんなことをと思うのだが、藍音は今はとにかくこのまま快楽に身を委ねているのが一番楽で、そして楽しかった。
「はああっんっ、やっ……あっあ゛あぁぁっ……あああっ……らめぇっおま○こになるのっ……やぁっあ゛っあ゛っ」
「案外、相性がいいのかもな。ヤバイ……めっちゃ気持ちが良い……ここまでのヤツ初めてだ……藍音……すごい」
 志朗が身震いしながら腰を振り続けているので、藍音はそれで少しだけ嬉しくなった。
藍音が乱れているように、志朗もまた藍音で感じてくれている。
 快楽に堕ちているのは一人ではないと、志朗はちゃんと言葉にしてくれる。
「あぁっらめっ……あっんっああっあああぁんっ! ああぁっ、あんっあんっ、ふぁっ、らめえええぇっひっあああぁっ、やっ、あっあっぁんっ! あっやああっあっあっあんっあっ」
「そろそろ一回目イッておくかな……」
「あ゛~~っ……、ひっあ゛っ、ああぁっ…、あっ、おち○ぽ、らめえぇっ……あああぁっひあっ……おま○こがっいいっあ゛っ、あ゛っ、イクっいくっああああーっ……」
 志朗の追い上げに煽られて、藍音は志朗のペニスで感じながら絶頂をした。
 久しぶりに誰かのペニスで抉られて絶頂ができたことが、どういうわけか心を穏やかにしていく。
 初めて意味ないセックスをしたと思ったのに、何よりも感じて天国にいるような気分になった。
 そして藍音はそのまま、すっと意識が飛んでいくのが分かった。
 眠りに落ちるように、瞼が閉じていくけれど藍音はしっかりと志朗を見た。
 そこには最高に感じたであろう志朗が、ペニスに被さっているコンドームを外して、まだ溢れる精液を藍音の身体に掛けている姿が見えた。
 藍音はそれに文句を言いたかった、すぐに視界がブラックアウトしてしまったのだった。

感想



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