モノポリーシリーズ 彼方のエレジー

6

陽琉の投げやりではない態度に獅來は興奮しきって陽琉をベッドに押し倒した。
「んふぅ……っぁふ、ぁん……っ」
キスはしなかった。
 そのまま獅來は陽琉の服を脱がせてしまう。あっという間の手際で、抵抗はしなかったとはいえ、獅來のやる気が高いのが窺える。
 すぐに獅來は陽琉の乳首を吸い始め、それに陽琉は体が熱くなるのを覚えた。
「ぁっ……あっ、んっ……っ」
舌で嬲り、唇を吸い噛んではまた舌で舐めてこね廻してくる。
 その執拗な獅來の舌に陽琉は甘い声を出した。
「ちくびぺろぺろ……きもちがいいっ……ちくびっああんっ吸って噛んじゃっああんっ」
セックスは獅來に犯された時以来していない。
 だから性欲は消えたように収まっていたから、陽琉はそれが急に湧いてきたのに驚くも、ただ気持ちが良いことは好きだったのでそれを言葉にした。
 そうしないときっと獅來は理解ができない。
 ある意味、少し障害があるかのように思い込んだら違っていることでもそうだと信じ込んでしまうようで、陽琉が言葉にしないから誤解が生まれる。雰囲気で察することができないのだ。
 逃げ回ったことで余計に獅來は混乱して暴走しかけたのだろう。
 ただ口に出すだけの言葉が足りないだけで、獅來は混乱するのだ。
「あぁああんっ! あひっ、あはぁあんっ、ちくびちゅうちゅうっ、いいよぉっ、あぁんっちくびぃいいっ」
ビクビクと体を震わせるも、それをしっかりと獅來が押さえつけて陽琉の乳首を執拗に舐めて勃起させる。
「あんっ、あっ、あっ……、ん、んぁっ、あぁんっああっ、ちくび、あんっ、ぐりぐりっああっん……あっあぅっ」
勃起して硬くなった乳首を更に舌でこねくり回されて、陽琉はどうしようもなく気持ちが良いと嬌声を上げる。
「あぁっ、んんっ、ちくびっああんっはぁっ、あっあっあんっ! あっ、らめちくびっひぃっ、らめっ……、それ、あっいぃっ……」
獅來の執拗さで求められて快楽が得られてくると、陽琉はもしかしなくても獅來と自分は相性が良すぎるのではないだろうかと思った。
 ここまで気持ちよくなれるセックスは、これまで付き合ってきた誰からも得られていない。あの犯されているだけの時間だった日ですらそうだったのだから、きっと相性だけは最初から良かったのだ。
「あんっ……あっ、あっああぁっ! ちくびらめぇっ、あんっあんっ、あっあっああっ!」
片方の乳首を指で摘ままれて捏ねられ、片方は舌で嬲られ続けると、自然と陽琉のペニスも勃起を始める。
 気持ちが良いと体も開けるようになって、陽琉はただひたすら獅來の愛撫を心地よく受けた。
「あぁっは……っぁ、ぁあう……っ! も、もう……っふ、っぁんあーっあ、ひっひぁ! あ、あ、……ぅぁ……あー……!」
乳首を吸われながら、アナルに獅來の指が入り込む。
「あぁっ……あ、あっ……あああぁっあぅっ、も、あーっぁっあ、はぁ……っん、ぁん!」
滑り気を帯びている指に驚いていると、どうやら獅來はコンドームを持ち歩いているようでコンドームを指に付けている。コンドームの滑り気でアナルに指がゆっくりと入って中を擦り始める。
「ひ、ひぃっ……あーぁんっあぅうう! あっあっあっ! ひぁっ……あーっあーっ!」
ああどうしよう、気持ちが良いと、陽琉は頭を振り続ける。
 乳首で感じながらアナルを弄られ、中を指で抉られて喘がされる。
 けれど執拗に丹念にアナルを拡張されていく。そうしないと凶悪な獅來のペニスが入らないのだ。
「あぁあんっ……あっ……あっ……あぁっ……あっ……あっ……あっ……っ、あぁあああんっ!」
「陽琉、可愛い……もっと聞かせて、陽琉のいやらしい声。感じている声」
「ああぁ……はぁ、はぁっ……あぁんっ……はぁはぁ……突いて、おちんぽでおま○こ突いてぇっ……」
陽琉はとうとう自分からそれを強請った。
 指では物足りない。もっと大きな物が欲しいと陽琉が強請ったら、獅來の指がアナルから出ていく。
 そして獅來はベルトを外し、パンツのボタンとファスナーを外していく。中の下着が膨れ、それをはぐると大きなペニスが飛び出してきた。
 その凶悪に反り上がった黒いペニスに、陽琉は股を自ら開いて強請る。
「あーっ……あっ、ぁあん……っも、おま○この奥、っおく、おちんぽ欲しぃい……!」
「うん、俺も陽琉の中に入りたい……いっぱい犯してあげるから……」
陽琉がそれを望んでいると分かると、獅來のペニスは一層大きく膨れた。それにコンドームが付けられて陽琉の中に挿入り込んでくる。
「あああぁっ! おちんぽはいってくる……っ、おちんぽがおま○こにぃああぁんっ……ひあっあ゛っん゛っあっ凶悪おち○ぽっ……ひああ゛っあんっあぁんっ」
「は……久しぶりだけど……ああ、たまんねえな……うねってすごい」
「んっ……んふぅ、ぁっ、あっ、んぁあ……ぁんっあっ、あっ、あっ! ひ、ぃぁあああん!!」
 パンパンパンとゆっくりと突き上げ始めた獅來であるが、陽琉はそれに合わせて腰を揺すり始める。
 どうしてもゆっくりでは足りないのだ。もっとがっつりと飢えたように求めて欲しかった。
「奥まで突き上げられるのが好きだったよな」
「あああ……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……んっいい、ぃいいいっ!」
奥まで勢いよく突き上げてきたことで、陽琉の頭の中が真っ白になる。
「ああぁん……んふぅっあんっあんあん! おちんぽっ……おま○こぉっあ! あああーっ!!」
たまらなく気持ちが良くて、陽琉はしっかりと獅來に抱きついた。
「ああ……おちんぽっあんいいぃいい……っ! おま○こいいっあっ、んぁあ……あっ……おちんぽっぁっ、あっ、あっんふぅっ……ぁん、あんっ……んぁあっ」
「陽琉、陽琉……っ」
「ああっんっあああんっ獅來っおちんぽっんっいいっ! そこぉっそこ、あ! あ! あっぁあ! あぁんっ、ぁんっあんっ!」
陽琉が素直に獅來のペニスを求め、獅來に抱きつきもっとと強請ってくる様子に獅來もそれに応えるように腰を振った。
「ああぁっんっはぁっ……あっあんっあんっひあぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
 抉るように中を擦り上げられ、陽琉はあっという間に絶頂前に導かれる。
「ああっおま○こいいっ……あっあひっい゛っあっあんっ! ああいいっああっ……あっあんあんああっああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
 陽琉はすぐに絶頂をしてしまったけれど、獅來はまだ腰を動かしている。
「あっああぁあっあひっあんっああーっあっあっああっ……あっあぅん……あぁっ……いってるっああっ、んっ……ふぁっ」
 これをされると気持ちよいけれど、快楽が更に深くなってとてもじゃないが、一線を越えることになる。
 散々擦り上げてから一旦獅來のペニスが出ていくと、獅來はペニスに被せてあるコンドームを?ぎ取るようにして取った。
「だめだ、生じゃないと、中出しができないっ!」
 そう言ってから生のペニスを陽琉の中に突き入れてくる。
「なまはっらめぁ……あぁあ、んっ、やっ……、あぁんっあっああぁんっ! んっ、んぁっあぁっ生おちんぽっ……あっあぁああっあ゛ひっ、いっあっあんっらめっ、あっあんっあんっ」
あり得ないくらいにコンドームと生のペニスの感触が違う。
 その違いに陽琉は脳天に突き抜けるほどの快楽が襲ってきてしまい、驚きながらもその快楽に身を委ねた。
「ひああぁっい゛ぃっあっそこっだめっ……あっあうっひああっあ゛ひっあっらめっああああんっあああっひあっらめっ……あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっあんっ」
カリがあちこちを引っ掻いて出ていくのが気持ちよすぎる。
 陽琉はただ嬌声を上げて腰を振り、獅來の生のペニスを感じた。
「ああんっいいっ、きもちいっ、いいっ……あっい゛っあひぃっあああぁーっ……! あひっ、あ゛っひああっ……あっあんっあんっ」
どうしようもなく相性がいい。それだけでセックスがここまで違う。
「陽琉、陽琉、ああ、愛してるっ」
真剣に必死な顔でそう言ってくる獅來が陽琉の中で精液を吐き出してくる。
「ひあっあっあんっあんっらめっ……あっあっああっあひっらめっ、中出しはぁっ……あっあっあんっ」
その中出しは大量の精液を吐き出し、奥の奥までしっかりと獅來の精液が染みついてきて、陽琉はそれで絶頂した。
「ぃぁあ……っまだぁんっあんあん! まだ出てるぅっ……すごっぁいいいん! ふぁああ……おちんぽっ精液でいくっっ! あ゛ああぁっ、せいえきっあっあ゛うっんっあ゛っあ゛っあああぁぁっ……あ゛っ……ああっ、う、あ、はぁっ、ああぁ……」
 長い射精と奧に感じる精液で陽琉は完全に箍(たが)が外れくらいに感じた。
 もう隠し事はする必要はなく、陽琉は素直に獅來と向き合えるようになっていた。
 嫌いじゃない、恨みも消えていく。
 年下の男に惑わされてセックスで堕とされ、ついには絆(ほだ)された。
「獅來……しきぃ、ああぁんっ、あんっいいっあぁっあんっ、ああぁあんっあっああっやあぁっ……あ゛っああっ……あ゛ひっああっ、やっらめっ、あんっあ゛ああっ……ひっ、あ゛っ、らめっ……あ゛っうぁあっ、獅來のおちんぽっおおきすぎっ…あっああっ……ふあんっああっああっあんっあんっあぁあっあぁあ……」
 陽琉は獅來に甘え、もっと欲しいと強請って獅來の首筋にキスをしまくった。
 もう認めてやるしかない。
 自分の心の奥底にある、自分を一番好きだと言ってくれた男への気持ちを。
 最初からきっと見惚れていたのだと。
「陽琉、好きだっ……いいっきもちがいい……ああ腰が止まらないっ」
「あああぁーっ、やぁっ、ひっ、ふぁっ、あんっあんっ、ぁんっ! やぁんっ、いぃっはぁっ、あっふぅっあんっ、んーはあぁ……ひ、はぁ、あっ、ああんっ! あぁっ、もう、むりっ……あんっ、なんで、また獅來のおちんぽ大きくなってるの、あ、あぁっ……」
「大きくもなる……陽琉がエロ過ぎるからっ」
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……あぁっ! あっあっあひぃっ……おちんぽっすごっあぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおちんぽっらめぇえはぁああぁっ、はぁっ……やらぁあっ、もっ、おま○こらめぇっあん、おちんぽっああんっあんっぁあああぁんっ」
「ああ、出るっ! 中にもう一回精液たっぷりだしてやるっ」
「あああっ……、ひっあ゛っあうっ……、んっああっ……、すごいっ…、気持ちよかった……、おま〇こして、精液中出し……あっ……あぁ……、おま○こいいっ、んふ」
あまりの気持ちよさに陽琉はドライで達して、その長く深い快楽を貪りながら、獅來の唇にキスをした。触れるだけのキスだったけれど、それで獅來の性欲の箍が外れた。
「陽琉っ陽琉っああっ沢山中出ししてあげるからな……もう孕んでくれればいいのにっ」
「あぁんっ……いぃっ、あっ、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんひあっ、あ゛っおちんぽ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
激しい獅來の腰使いに陽琉は翻弄されて、ただ快楽の渦に突き落とされる。
 それはもう止める人がいない場所では、精根尽きるまで続くセックスの始まりの合図だった。
「ひああっ……らめっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっんっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっ」
「また、出るっ!」
「あ゛っああっあっいくっ、いくっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっらめっ……ああんっおま○こっああんっおちんぽがっああんっ…………ん゛ああっ……あっ、い゛っ…出てぅっ…なかっ、精液がっあっ、あん゛んっ……ふぅっ……ん゛ぶっ……ひあぁっ……んっ、ふぅっ……ああ、中、精液出てる……んふ」
たっぷりと中出しをされて陽琉は気持ちよくて、まだ夢の中にいるような気分になるも、獅來の性欲はまだ解放されたばかりだ。
 すぐに中で復活をした獅來のペニスが陽琉のアナルの中で大きくなり、また獅來が腰を振り始める。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああんっああんっああっ! ああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん! いいっああっ……ああんっ……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっ!」
 いいところを抉られ、奥まで突き上げられて陽琉は嬌声を上げる。
「あ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっん……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっいいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっ」
陽琉が嬌声を上げていくと、それに合わせて獅來の力が強くなり乱暴に陽琉を突き上げてくる。凶悪なペニスが結腸を開くようにして押し入ってきて、そこを何度もカリまでが通っては出ていく。
「あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっいいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっあ゛ああっ……あっ、あ゛っ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
 ここまで届いて陽琉を絶頂させられるのは獅來だけで、その獅來から調教されるようにして知った快楽をまた陽琉は得られて嬉しくなった。
 体は歓喜を上げていて、獅來の行為に体が痙攣するくらい感じている。
恐ろしいほど感じて、絶頂をして快楽が何度も押し寄せてくる。
 その感覚が陽琉はとても好きだった。
「いい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっあ゛あぁっ……おちんぽしゅごいっ、、ああっ、あっ、やああっあっあんっあっあ゛ああぁっ……すきっおちんぽすきぃっ……いいっきもちいいっおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……こすっちゃっああんっらめっ」
 ああ、あの時も同じように感じて、同じように堕ちていた。
 最初から獅來のペニスによって陽琉の体は堕ちていたのだ。
それを思い出したら陽琉は何となく心が楽になった。
「ああ……獅來、すきっ獅來のおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……っきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっああんっあっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんっ」
「陽琉っああっ陽琉……愛してるよ……陽琉」
「ああっすごいっ獅來のおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ! あ゛あああっ……あぁっあっいいっ、きもちぃっ、、おちんぽ、大きくて、おま〇この奥まで届いてるっあああっあぁっあっあっおおきいっおちんぽっきもちいいああんったあんっあああんっ……きもちいいっああんっ」
セックスで心を開いたなら、もう陽琉は完全に獅來に堕ちるしかなかった。
「ふあああっ……んっあっ、あんっ……俺のおま〇こ、おちんぽで、気持ちよくなってるっ……ああっんっああんっんあっあああんっああっ……きもちいいっああんっああっいいっああんっあっあっあっおま○こにまただして……ああんっいいっおま○こに精液出して……ああんっおちんぽ精液ちょうらい……ああんっらめっらめっああんっ」
「ああ、くれてやるよっ……陽琉っ」
「あ゛ああんっ! いくっいくっあひっあっあああっいくっ……! はぁっ、あん、あっあっ、精液中出しっきたっ、あぁん……」
 二人は同時に絶頂をして精液を吐き出した。
 ドロドロになった二人はベッドの上で荒い息をしながら顔を見合わせた。
 獅來は真剣な顔をしていたけれど、陽琉はそれを見て笑っていた。
「うん、僕の好きは分からないけれど、多分お前のことは一番気になってると思う。それで当面はいいか?」
 陽琉がそう言うと獅來が目に涙を浮かべて泣きながら頷いている。
「うん……」
 あれだけ強気な様子だったのに、ちゃんとした年下の男で可愛かった。
 そこで陽琉の心に初めて獅來に対する気持ちが生まれ始めていた。
 その気持ちがちゃんと育つのかはこれからの二人の付き合いによるけれど、今はただ体だけでも求め合うのもいいと、陽琉は思ったのだった。


 二人がちゃんと収まったことを宮辻に陽琉が知らせると、とうの昔に知っていたと言わんばかりの宮辻が電話で笑っている。
『何だかんだで堕ちるんだろうなとは思ったよ、あのストーカー男、そうなるまでずっと付きまとうくらいにしつこそうだったし、お前は甘いし、結局堕ちるしかないなって』 宮辻の言う通りに甘いせいで結局は堕ちた。
「もういいよ、僕にはアレくらいでなきゃ多分満足できないんだろうから」
 陽琉はそう言って笑って宮辻との電話を終えた。
 その陽琉の隣には、しっかりと獅來がいる。
 獅來は大学をさっさと退学してしまい、アメリカの大学を受け直して、何と陽琉の住んでいるニューヨークに引っ越してきてしまった。
 獅來は元々留学をするつもりでいたらしいが、留学では陽琉の側にずっと居られないと言い、大学を辞め、アメリカの大学試験を受けてさっさと合格をしてしまったのだ。
 それこそ陽琉の止める間もなかったのだけど、どうやら事情は更に違った。
「陽琉がニューヨークの会社に入ったの知ってた。俺の頼んだ私立探偵が調べてくれたから、こっちはこっちで準備をしてたんだ。嫌われても近くで見ていようって思って」
 そう平然と言う獅來は、探偵を既に雇っていて陽琉の様子を報告させていたのだという。それで陽琉の近くで陽琉に見つからないように陽琉を見張っているつもりだったというから呆れる。
 一応は壱伽のこれ以上は駄目だという話合いの後に、見守るだけなら良いだろうと思い直して行動をしていたというから、陽琉の一時帰国も知っていたし、もちろん家に戻ることも知っていた。
 だから見張っていたら中塔が待ち伏せていて、それでその騒動も見守ることにしたけれど、どうも話が危なそうだったので出てきてしまった。
 それを聞いた時は、怒るとかの以前に陽琉はもう笑ってしまった。
「もういいよ。助かったのも事実だし、結局収まるところに収まったんだと思うから。お前の努力も無駄じゃなかったってことで。まあ、これから他を見る暇はないから覚悟してて」
 陽琉は事情を全て知った上で、隣に寝転がる獅來にそう言った。
「いいよ、俺も絶対に陽琉を離さないから」
「そうしてて」
 二人はそう言い合って唇にキスをする。

 新しい日々が始まるけれど、それはとても楽しそうな日々のはずだ。
 陽琉はすっかりと獅來の暴挙によっていろいろなものが変わってしまったけれど、それは悪いことばかりではなかった。
 しがらみから解き放たれて、自由な気持ちになれた。
 その爽やかな心と嫉妬深く愛情深い恋人と生きるのもありだと思えた。

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