モノポリーシリーズ 37°C

11

 壱伽と宮辻の二人がセックスに興じている間に下の階ではもめ事が起きていたが、二人の耳にそれが入ったのは昼過ぎのことだった。
 玄関先で管理人に呼び出された宮辻が文句を言われているが、宮辻は平然と言うのだ。
「その人、知り合いでもないんで。本当に迷惑しているので警察に通報が一番かと」
 どうやらオートロックのところで行く手を阻まれた友景亮登が突破するために配達を偽装して内部に入ろうとし、それを見かけた住人が嘘を吐いていると横やりを入れて揉めて、管理人が呼ばれるまで言い合っていたらしい。
 昨日はもう無理だと諦めて一旦帰ったらしいが、朝になって宮辻の家を調べ直して突入してこようとしたそうだ。
 その言い分が知り合いが監禁されていると言うから、宮辻がそれは違うといい、昨日帰り道で付きまとわれて暴言を吐かれたことや、その知り合いはもうとっくに家に帰っていることまで伝えると、管理人も知らない人よりも上客である宮辻の言い分を信じた。
「なら、警察を呼ぼうかね」
「そうしてください。向こうもいい立場でしょうし、警察を呼ぶからと言えば逃げ帰るでしょう」
 宮辻がそうニコリと言うと、本当にその通りになった。
 亮登は警察を呼ばれて身元がばれる方が大問題で、文句を言いながらも引き下がった。
 管理人はオートロックのところにしばらく住人が不安にならないようにと警備員を置いてくれたようで、これで宮辻の自宅に亮登が突撃してくることはできなくなった。
 けれど、壱伽の携帯には鬼のように着信とメッセージが入っており、壱伽はそれらの音を消してメッセージには答えていた。
 とにかく亮登は自分の思い通りにしたいだけのようで、壱伽はただ「恋人関係になれたのは亮登さんのお陰です!」と返してそれから後は無視をした。
 夏伐からは事情を知らせるように言われたし、騒動は飛び火して立夏や獅來まで色んな人に心配をかけたけれど、壱伽はただ宮辻と恋人関係になったことだけ伝えると、心配はお祝いになって、話の筋が簡単に通った。
「ほんと、亮登さんには困ったもんだな……」
 壱伽の呟きに事後処理をさせられている疲れが出ているが、あちこちに恋人関係になったことを報告するつもりはなかったのに自然とそうなってしまって、自分から大々的に広めている羽目になってしまっている。
「まあ、迷惑掛けられたお駄賃だと思えば、広まるのが早ければ擁護も増える」
 宮辻としては本当に恋人同士になったと壱伽から広めて貰った方が、セフレの噂もあっさり消えてくれるから有り難かった。
 そうやってほぼ目ぼしい人に話を通していたら、壱伽は思い出す。
「あ、そうだ。僕の知り合いが宮辻の友人って人のことを知りたいって言っててね」
 壱伽がそう言い出すと、宮辻はキョトンとする。
「俺の? 誰のこと?」
「えっと、一ノ関陽琉(あたる)って人」
「ああ、陽琉か。俺の友人だけど? なんで?」
 宮辻は不思議そうにするので壱伽は最初から説明をした。
「僕の友人の恵西獅來(えにし しき)っていう男がいるんだけど。その人が陽琉さんに惚れちゃってて、それで色々知りたいらしい。大学が同じだったし、住んでいるところも知っていたけど、尋ねたら大学は単位取り終わっていて、就職も決まっているからってもう用事がないと来ないくらいで、住んでいるところに行ったら引っ越していたって」
 そう言われて宮辻はふっと天井を見てから思い出したように言う。
「ああ、マンションの名義が変わったからとかで引っ越したのは聞いた。さすがに教えられないけど、何か言うことがある?」
「うん、会いたいって言ってる」
「それだけ?」
「えっとね、正確に言うと、会ってくれないなら調べてそこに行くって言ってた」
 壱伽は獅來の行動力が非常に高いことを言い、本気で探偵を雇って調べていくと思うのでと言うと、宮辻が言った。
「あいつ、今恋人いるんじゃなかったっけ?」
「それがね、中塔さんなんだって。僕の元彼」
 壱伽の言葉に宮辻はさすがにそこまで友達の恋人に興味がなかったけれど、それは駄目だと目を丸くする。
「とんだことだな……中塔の野郎も節操がない。まさか陽琉も亮登ってやつにつまみ食いされてんじゃ……」
 この流れで壱伽がやられている以上、それを宮辻が心配をするのは当たり前のことだ。
「わかんない。僕はもう繋がりもないけど。でも探りは入れられるかもしれない。多分、バーとかで引っかかるから、藍音さんに頼んだら何か分かるかも」
 壱伽はそう言って藍音に事情を書いたメッセージを送ってみた。
「藍音って、あの三回生の派手な?」
「そう、三股になってた人。その時から愚痴って飲んだりしていたら、仲良くなっちゃって、藍音さん顔が広いから何か情報持ってるかもって」
「ふーん。そいつは俺のことを知ってる?」
「知ってるよ。笑ってた。多分、僕らがくっつくことが分かってたみたいに」
 壱伽がそう言うと、宮辻はなるほどと頷く。
「そういう顔の広さか」
「人のことはすごく分かってくれるけど、自分のことは分からない人だよ。あの時も、僕のことばかり気にして、僕のこと慰めてくれたけど、一緒だったんだよ? 中塔にされたことはね。なのに、僕の心配ばかり。早く藍音さんにいい人が見つかってくれると、僕も嬉しいんだけどね」
「それは壱伽じゃ駄目だったんだ?」
 宮辻がそういう意味でくっつくことはなかったのかと聞くと、壱伽は笑って言う。
「だって、僕らどっちもネコだもの、ないよそれは」
「ああ、そっか、そうだよな……」
宮辻はそれで納得して藍音のことはもう怪しんではいなかった。
 それで壱伽はどうやら藍音との関係も宮辻が嫉妬しているのだと知る。
「……僕はもし誰かとそうなっていたら、宮辻に言うよ? 隠してもきっと誰かが吹き込むんだし?」
 壱伽がそう言って軽く笑うと、宮辻は自分の嫉妬に少しだけ照れた。
「悪いな。俺も意外に自分が嫉妬深いことに驚いているんだ」
 どうやら宮辻は前にそうした嫉妬が元カノに対して湧かなかったのは、きっともう元カノと同じように宮辻にも元カノに愛情すら残っていなくて、義務感だけで思っていたのだろう。
「で、その獅來ってやつはどういうヤツだ?」
 すっかり友人を心配する顔に戻った宮辻に藍音からメッセージが入る。
「あ、どうやらバーで会ったみたいだって。けどその後からバーに来ないから、それ以上は分からないって。亮登さんとはそもそも会ってないらしくて、なんでなんだろうねって」
 そう言うけれどどうして中塔が亮登に関わりのない人を今現在選んでいるのかは分からなかった。
「獅來のことだけど……あのね、すっごくお気の毒様って陽琉さんに言っておいてほしいんだけど……」
「そんなヤバいのか?」
「うん、滉毅の十倍くらい。諦めることを一切しなくて、何でもお金で解決できることはやっちゃって、割とそれで上手くいくことが多くて、それでちょっと家族と揉めて、それさえもお金で解決しちゃったから、色々と壊れてる」
「なにそれ」
 めちゃくちゃ感情がおかしい人みたいに言うので、宮辻は眉を顰める。
「友達にはいい奴なんだよね。僕の場合、お金は持ってるから獅來のお金に興味ないからさ。それで普通に付き合ってられるけど、お金に目が眩んだ人だと割と悲惨で……身の丈に合った生活ってあるでしょ。それが壊されて、それでその価値観を持ったままで縁を切ることになるから、離れた人は大抵犯罪者になっちゃうんだ」
「ああ、友達だと言いながらお金に集るヤツいるよな。それでそれが酷くなったところで縁を切る訳か。そりゃ人生ぶっ壊れるな。てか、そんなヤツだったら、金使っていくらでも陽琉の居所知れるんじゃね?」
「知れるよ~、でも今回はちょっと違うみたい。一応の礼儀は通してる。でもそれでも陽琉さんが何も言わずに会ってくれないなら、強硬手段は執るつもりみたいなので、ご愁傷様」
 そう言って壱伽は手を合わせた。
「おい。壱伽」
「あのね。僕は獅來が誰かに会いたくて自分からこうやって譲歩しているのを見たことが一回もなかったの。あいつ、僕と友達になった時も寂しいからって旅行先調べて突発で会いに来るくらい狂ってるから」
壱伽はそんな獅來でも平気で付き合えるくらいに獅來は嫌いじゃないらしい。
 けれどそれは壱伽が友達の枠から出ることがない存在だからこそ、獅來も距離を一応取っているのだろう。
 しかしそれは陽琉には配慮はされても、最終的には壱伽すら見たこともないくらいのことが起こるとしか言えない。
「最初に言っておくけれど、邪魔したら滉毅も何されるか分からないから、邪魔はしないでね?」
 壱伽はそう心配そうに言うので、宮辻は一応尋ねた。
「それって、俺何されるわけ?」
 そう聞き返した滉毅に、壱伽はふっと目を反らした後に息を吐いて言った。
「お国が違うことになるかも……」
 そう国籍が変わるくらいのことをされるわけだ。
 いつの間にか日本国籍じゃなく、違う国の人間にされて全てを奪われて日本から追い出される。
「どうやって……って、なんか弄れるのか……そっかー」
 それ以上深く聞いて知ったことがヤバイことであるなら、宮辻も無事では済まない。
 だからそのことはそれ以上聞かずに壱伽に尋ねた。
「獅來ってヤツをどう思っている?」
 壱伽にそう聞くと、壱伽はゆったりと笑って言った。
「うん、僕は獅來のことは好きだよ。友情も湧くし、彼のためになんでもしてあげたいくらい。だからこうして陽琉さんのこと調べてるわけ。僕ね、獅來以外にちゃんと色んなことを話せる人、いなかったの。気付いたら一番の友達になってた。それはこれからも変わらないし、きっとずっと友達だと思う」
 どうやら居心地がよく、悪くない間柄らしい。
 お互いに干渉はし合わないけれど、意見や気持ちは伝え合っていい刺激になっているようだった。
 悪い奴ではないことは壱伽の表情からも分かるが、宮辻には獅來を信用しきれる気がしなかった。
「いい奴かどうかは、俺の態度次第ってなんか脅されてる気分」
「脅してるんじゃないよ、事実を言っているだけだから」
壱伽がそう言うので宮辻はこれ以上獅來について探るのはやめておこうと思った。
 壱伽がここまで信用している相手なら、陽琉の現状から悪いことにはならなそうではあるし、今現在の陽琉の現状が既に最悪であるから、改善するために宮辻が手を貸してやるのも悪くはない。
 そういうわけで、宮辻は壱伽の頼みを聞いて陽琉に連絡を入れ、獅來が探していること、住所は教えていないが断ったら探られること、何に都合が悪いのかなどを聞いたところ、陽琉は獅來に会うことだけは約束してくれた。
 ただそこに壱伽と宮辻も同席することが条件になった。
 もちろんそれを宮辻に断れない理由があるのを陽琉は知らないようであったが、宮辻は快く受けた。
 獅來の顔を見てみたかったのと、一応友人の一大事である。
 事情も聞けるなら間に入ろうとも思ったのだ。
「よかった、会ってくれるって言ってくれて」
 獅來には早速伝えて日程も決めた。
 二人はデートの日をその日に設定して、朝のうちにこの用事を済ませて二人で何処かにしけ込もうと計画を立てるのだが、それが上手くいくかいかないかは、その日の獅來の行動一つであることに気付くのは、その時になってからだった。


 翌日壱伽が大学に行くと、いつの間にか本当に宮辻と付き合うことになったことが大学中に広まっており、壱伽が側を通るとおめでとうとまで言われてしまった。
 皆面白がっていたようで、中には口が悪い人もいたけれど、概ね祝福ムードだった。
 ただ宮辻の方を冷やかそうとした人たちも多かったけれど、宮辻は大学にほぼ顔を出さなくなった。元々単位も足りていたし、教授の用事で寄っていただけで、あとは壱伽に会うためだったから、もう恋人同士になったら大学内でしつこく追う必要もなくなったという。
 その代わり壱伽が宮辻の家に行ったり、宮辻が壱伽の家に行ったりと、お互いの家を行き来するようになり、愛を育むにはわざわざ外にでなくても良くなった。
 壱伽は真面目に大学に通い、いずれは親の会社に入る。それもあって、壱伽の両親には宮辻のことを紹介をした。
 最初は反対されるかと思っていたが、両親は壱伽を愛してくれるならどっちでも構わないと言い、壱伽が選んだ人ならと宮辻のことを歓迎してくれた。
 一方宮辻の家は、宮辻には干渉をしないと言った。
 好きに生きててくれていいから、こちらに迷惑がかかるのだけはやめてくれというわけだ。それには宮辻の生き方そのものが問われることで、宮辻は一層真面目に自分の将来を考えた。
 その過程で、宮辻は壱伽の親が経営するグループに就職が決まっていたことから、相当優秀だとみられて、壱伽の両親が宮辻を本社勤務に引き戻して採用した。
「なんか、悪いな」
「ううん、僕もあと三年後はそこに入るから、その時に滉毅にも色々手伝って欲しい。だからいてくれると心強い」
 滅多に両親の会社を継ぐことに関して壱伽が決意を口にすることはなかったが、それを壱伽が言うものだから、宮辻の存在自体が壱伽の中の価値を変えていく存在だと、会長である壱伽の父親も認めた。
「君がいてくれるだけで、壱伽が真面目に将来を考えてくれるようになった。変な夜遊びもしなくなったし、危ないところにも通わなくなったようだ。とても落ち着いてきたし、それは全部君のお陰だと思っている」
 食事会をした時に壱伽の父親から直々にそう言葉を貰った。
 壱伽が使ったお金はすべてクレジット決済なので壱伽が何にいくら使ったのか親は把握している。そのお陰で行き先や何をしているのかまで分かっていたけれど、壱伽に寂しい思いをさせた結果であることを両親は分かっていた。
 だから宮辻の存在は現れた時から壱伽の行動がきっちりと変わったきっかけとして金銭からも認識ができて分かりやすかったのもあるらしい。
「よろしく頼むよ」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
 宮辻は壱伽の父親とはその後も壱伽抜きで飲みに誘われる関係になったほどで、壱伽の両親との相性もよかったようだ。
 何もかもが歯車が合って上手く回り始めた。
 宮辻にとってはずっと空虚になっていた部分が綺麗に埋まった気がした。
 お互いにお互いを必要として生きていけるなら、この最善の道を選ぶしかない。
 

 とはいえ、性欲で最初に繋がった二人である。
 性欲は収まることを見せずに二人は家に引きこもってはセックスをしていることが多くなった。
「あああっ出してぇ、俺のっおま○こに、せーえき出して、奥までっビュービューしてぇっ、あんっあんあんあんあんあんっ」
「奧に出すのか、壱伽は中で出されるのが好きだもんな」
 パンパンと壱伽を突き上げながら宮辻が腰を振り、壱伽を追い上げていく。
 何時間もただ求め合い、それでも足りなくてどこでも盛った。
 台所や玄関先まで様々な場所で二人はその気になったらセックスをした。
「あああぁっ! ああっ、いくっ、おちんぽでいっちゃっ……あっああぁんっひあっ、あっあっいくっ、あっふあっせいえきっきたっあ゛あーっあっあ゛っあっ……いってるっ……おま○こでいってぅのに……あひっあへっあ゛っあっあんっあんっ」
「まだいけるよな。壱伽」
 精液を出しながら宮辻は腰を振り、全体に精液を擦り付けて壱伽をもう一回追い上げる。連続での絶頂は壱伽の癖になっていたから、壱伽はそれだけで絶頂した。
「ああっあ゛っいいっきもちいっおちんぽでズボズボされるのよすぎて、いくの止まんないっ……あ゛っい゛ぃっあっああ゛あぁあっいくっいくっあっ……!あ゛っあ゛っんあっ……あ゛ああっ」
壱伽は絶頂をしてガクガクと体を震わせるけれど、宮辻はまだ奧を抉り続けて腰を振る。
 それにまだ絶頂感を味わいながら壱伽はまた絶頂させられる。
「あああっ……ひっあっそこっおちんぽっぐりぐりっああっ……あ゛っうあっあっあ゛あ゛ああああっ……! いくっいくっおま○こいっちゃうっ! あ゛っんあっあ゛っあ゛っあっああっ」
「壱伽、まだもう一回いけるよな」
「あぁっあんっあひっい゛っあぁっ……い゛ってぅ、止まんないっ……おま〇こになってる、ああぁっふぅっうううっ……ああぁっあ゛っ、うぅ、あーっあぁんっ、好きっ、滉毅好きぃっ……、滉毅のおち〇ぽ大好きっ、、あ゛っ、ひっ、おち〇ぽハメハメされるの好きっ、絶頂しまくっちゃうっ、あ゛っああぁっ……」
連続四回目の絶頂を迎えて壱伽は口から涎を垂らしながら、やっとペニスから精液を吐き出して絶頂をする。
それは尿を漏らすまで突き上げられてのことで、壱伽は狂いそうなほどに感じながらもそれでも宮辻とのセックスは大好きだった。
「あ゛っ、おち〇ぽっすごすぎっ……あっ、あっ、あっ、あんっおま○こ壊れるっひあっあ゛っいってるっ……いってるのに、あああっ、あんっ、あ゛っ、あっ、あんっ、あんっ」
「ああ、壱伽……愛しているよ……」
 奧でもう一回中出しをしている宮辻がそう壱伽の耳元で言うと、壱伽はそれだけでまた体を震わせて絶頂をする。
「あああぁっ……、んっあっ、ひあぁっ……、ああんっあぁっ……、中、精液出てる……ああんっはぁっ……はぁっ……んっ……」
 宮辻の言葉はなんでも壱伽の快楽を誘う。
「ふぁっ……ぼくはいんらんっ、淫乱なのぉっ……おちんぽでおま○こ突かれて精液中出しされるの、だいしゅきぃいなのっ……あんっああっ!」
「知ってるよ、可愛い壱伽……もっと淫乱でいて」
「……うん、滉毅、好きっ」
「知ってるよ」
 最初から壱伽が宮辻を気に入っていることくらい知っていた。
 そうじゃなければ話しかけもしなかっただろうし、居酒屋でセックスなんて危険を犯しもしなかっただろう。
 だから宮辻は最初から勝算があった。
 壱伽は気付いていないけれど、宮辻は知っていた。
 そこに熱があり、抱きしめたくなるほどの寂しさを抱えた壱伽を、今こそ宮辻はしっかりと抱き留めた。
「可愛い、壱伽……愛しているよ」
 何度も何度も染み込むように囁く。
 そうして壱伽が他を見ないように、宮辻は壱伽にだけは甘くそして優しく真面目に接した。
壱伽はその優しい幸福感の中で、最高の時間をいつまでも過ごしたのだった。

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