モノポリーシリーズ 37°C

6

 壱伽と宮辻の関係は、普通に続いた。
「よう、時間いいか?」
「うん、いいよ」
 ただそれだけでその日の予定が決まる。
 大学の飲み街横町あたりで食事をして、二人でそのままホテルに入る。
 週末どころか、頻繁に時間が合えば二人はセックスをした。
 最近では大学の中でもヤリ部屋を使ってセックスに興じるほどだ。
 大学では離れた場所にある講義室や、部室の合いカギを壱伽が貰ってきては最低限の物を持ち込んでセックスをした。
 その日は、離れの講義室で今日の講義が教授の出張で休講になり、誰も来ないことが確定している場所だった。
「あぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっああっ」
「壱伽……」
「ああんっおま○こはいいっああはんっおちんぽ……いいっ……あっあひっい゛っあっあんっ!」
宮辻はいつでも壱伽を抱きたいと言う。
 壱伽を見るだけで誘われている気がして、恋人でもないのにキスをするためだけにトイレに引き込まれたりもした。
 結局お互いにペニスを摩り合ったり、トイレの個室でセックスに及んだりもした。
「あっあんあんああっああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
嬌声を上げることはできない環境ではなかなか辛いので、壱伽は求められると場所をすぐに探した。それくらいに壱伽も宮辻とのセックスを楽しんでいる。
「あっああぁあっあひっあんっああーっ」
激しく打ち付けられるのを壱伽は感じながら宮辻に体を開く。
 気持ちが良いことはやっぱり好きだったし、宮辻はセックスが上手くなっていた。
 特に壱伽を喜ばせることに感じては天才的に上手く、壱伽は他の誰よりも宮辻とのセックスが好きだった。
 きっとこれ以上を得られるとは思わなかったし、宮辻以上に相性がいい相手が見つかる可能性は低い。
「あっあっああっ……滉毅……いいっあっあぅん……あぁっあっ、んっ……ふぁっ」
講義室のテーブルに横たわって、ただひたすら気持ちよく犯される。誰かが来るかもしれないし、誰かに見つかるかもしれない。
 けれど壱伽の声は止まらなかったし、宮辻もその辺は気をつけてはくれている。
 誰も来ない、来たとしてもヤリ部屋だから早い物勝ちだからこっそり去ってくれると分かっている場所を選んだのだ。
「はぁっあっああぁ……滉毅ぁあ、んっ、おま○こいいっ滉毅のおちんぽ、いつもより、硬い……ああっ……、おく、ゴリゴリ抉ってきて、きもちいいっあぁんっあっああぁんっ! んっ、んぁっあぁっ」
 奧を抉られ、射精をしないでドライで絶頂をさせられ続け、壱伽は気持ちよさに狂っていく。
 宮辻とセックスをするようになってから、壱伽は体の変化に気付いた。
 ドライで絶頂をすることが増え、射精をあまりしなくても快楽を長く得られるドライの方が好きだった。
それは宮辻がセックスが上手いのと、壱伽が好きな方法でやって貰えることで起こる絶頂は、最近の壱伽のお気に入りになっている。
「ああっおちんぽ、いいっ……あっあぁああっあ゛ひっ、いっあっあんっ、あっあんっあんっ」
目を宮辻に向けると宮辻は必死に壱伽を抱いてくれているのが分かる。
 額に汗と必死な様子が見えて、壱伽はそれに安堵する。
 決して宮辻が裏切ったりしない人なのだと、人柄を知ることができる。
「ひああぁっい゛ぃっあっそこっいいっ……あっあうっひああっあ゛ひっあっああっああああんっ」
「壱伽……壱伽……あ……」
「あああっひあっあんっああっ……あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっいくっああっ……いくっああん!!」
 壱伽が絶頂をすると、壱伽の中に宮辻が精液を吐き出している。
 けれどそれはコンドームに受け止められて、壱伽の好きな場所には届かない。
「は……は……あっ……」
 宮辻は身震いをしてからすぐにペニスを抜いていくが、壱伽はそれが寂しかった。
「……なか、もっとほしい……」
 壱伽はそう言いながら足を大きく開くけれど、それに宮辻は壱伽の足にキスをしてから言うのだ。
「壱伽、時間だよ。次の講義はでないといけないんだろ?」
 そう宮辻が言う通り、壱伽の落とせない講義である。 
「……あ……う、うん……でも、……ほしい……」
 壱伽は宮辻に強請ってみせると宮辻は持っていた鞄から何かを取り出した。
 それは所謂、アナルプラグだ。ただそれは微妙な振動が与えられる電動で、アナルに入れる部分が丸い瘤がいくつもある。
「これを填めて講義を受けておいで。終わったらホテルにいこう」
「……え……え、あんっ」
 壱伽が驚いている間に宮辻はそれをアナルに挿入れていた。そしてそれを固定する下着のようなものを着せてきて落ちないようにした。
 中には大きな玉のようなものが入っている感覚があるが、目の前で宮辻がその電源を入れた。
「……ふっあっん……ああっ……」
 振動がするとアナルの中を刺激される。
 音は全く聞こえないから、安物のローターではないらしい。
「これ、偶然見つけたんだけど、低周波の振動で音も聞こえないから人気なんだってさ。壱伽もこれを付けて講義を受けてみて……初めてだし、音が聞こえたらアレかもしれないから、このくらいの振動で」
 中で何かが蠢いているのが分かるくらいの振動であるが、さっき中で絶頂したこともあり、壱伽にはこんな振動すらも気分を盛り上げるには十分なものだった。
「……んっ……あっ……はっ」
「壱伽、いっておいで」
壱伽はそのままの状態で宮辻に送り出されてしまい、講義を受けた。
 一番後ろの席にして周りには誰もいない時間だったからよかったが、壱伽はほぼ前のめりで講義を受けて、終わった時には学生が全員去ってしまうまで身動きはできなかった。
 幸い最後の講義時間だったらしく、人はあっという間に去ってくれて、残る人もいなかったし、次の講義もないので人は誰もこなかった。
「は……ぁ、ぅ……っ」
 しばらく壱伽が悶えていると振動が大きくなってきて、壱伽はその場でドライで絶頂をさせられた。
「んっ……ぁ……っ、ぁ、ん……あ――っ!!」
 ガクリと身体を痙攣させてから机に突っ伏すとそこに宮辻がやってくる。
 誰かが来たと壱伽が焦って見ると宮辻だったので壱伽はあからさまにホッとしてみせた。
 その表情は宮辻の心を突き、壱伽への思いを更に強くさせることになった。
「壱伽、どうする?」
「あ……あんっ」
 ただ宮辻か壱伽の頬に触れるだけで壱伽はまた絶頂をするのではないかというほど感じてしまい、壱伽は宮辻に強請った。
「滉毅のおっきいおちんぽ、僕のいやらしいおま○こにっ、はぁっ、挿れてっ。挿れて、いっぱい、なかこすって、ぐりぐりってしてぇ……っ」
 色っぽい顔をして宮辻を誘い、壱伽は宮辻に甘える。
 こうやって頼んだら宮辻が断らないのも知っている。
 ただセックスがしたくて誘っているけれど、宮辻はただのセックスフレンド以上の気持ちが入っているから、壱伽には甘い。
 けれどこうやって壱伽の気持ちを確かめるかのような行動を取り、壱伽はその全てを断っていなかった。
 普通ならこういうことは断るし、やらない。けれど、宮辻の細心の注意を払ったやり方とその反面である危うさに壱伽は引き込まれていく。
 このまま飲み込まれたら、きっと壱伽は宮辻以外の誰かと寝ることはできなくなるだろう。
 それでもいいかと思うけれど、そこに壱伽の心が付いてこない。
 愛しているとか好きとか、そうした感情が死んでいる。
 壱伽は元彼のせいで好きという自分の気持ちすら殺された。いくら好きを重ねても相手がどう思っているかなんて、本当のところ分からないのだ。
 だから宮辻がセックスフレンドになった時は壱伽のことを好きだと言ったけれど、今もそれが続いているのかどうかは正直言って分からない。
 もしかしたらもう心変わりをしていて壱伽のことをただのセックスフレンドとしてしか見ていないのかもしれない。
 そういう気がして壱伽は自分の気持ちに正直にはなれなかった。
 ただ宮辻のことは気に入っているし、悪い気持ちは一切ない。
 それだけは本当だった。


「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
 大学内のあまり使われない講堂のトイレに入り込んで二人はセックスを続けた。
 あまり人が来ない個室だったので、いわゆるヤリ部屋と同じ扱いをされている。内側から鍵が掛けられ、声が漏れないようになっているから、嬌声を上げても誰も気にもしない。
 鍵が掛かっていたら使われているから、使いたい人は去っていくだけだ。
「あぁっ……はぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっあーっ……」
 宮辻のペニスで中を抉られ、奧を突き上げられて壱伽は喘いだ。
本当に宮辻とは相性が良すぎて、壱伽は完全に宮辻のペニスに狂っていた。
「あぁっ……ああっ……、あぁっ、こんなっ、はぁっ、はぁっ……ああっ……あっぁんっ」
気持ちが良くて宮辻にはいつでも犯して欲しくて、壱伽はそれに繋がることなら何でも受け入れてしまっている。
 これで愛だの恋だの言うのは何だか俗っぽくてよくない気がしたほど、壱伽は宮辻とのセックスが好きだった。
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっあっ! あぁーっ……んっはぁっぁああっ」
「壱伽の中、さっきよりよくなっている……トロトロしてて……いい」
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっ滉毅のおちんぽっすご、いっ……あぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
 トイレの蓋の上で股を開いて宮辻を受け入れ、獣のように交わるのが良くて、壱伽はもうあとはどうなってもよかった。
 むしろセックスの時間がもっと続けば、この満たされた心もきっと楽なのだ。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……あぁああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
 あれこれ考える必要なく、ただこれを好きだと言える。
 こんな楽で気持ちよくて最高な時間を壱伽はもっと味わいたい。
「いいっああっ……ああんっ……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっ! あ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっん……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
中を抉られて奧を突き上げられることが、ここまで気持ちが良いと感じてしまう。その快楽が忘れられずに壱伽は宮辻を求めてくる。
 そんな淫らな壱伽を宮辻はしっかりと受け止めてくれる。
「壱伽、もっとだ」
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっあ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
「壱伽、気持ちが良いんだよな?」
「おまんこ……ああっ……ゴリゴリきもちいいっ……ああんっ滉毅のおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっいいっ……おま○こきもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
 壱伽の返事に宮辻はまた強く突き上げてくる。
 その奧を突き上げてくるペニスによって壱伽は絶頂へと導かれる。
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
ガクガクと体を震わせて絶頂をするも、ドライで達しているだけなので壱伽は続けざまに絶頂をさせられる。
 もう宮辻のいいように突き上げられるだけで壱伽はドライで達することができるようになった。
 もうこのペニス以外でここまでの快楽は得られないのではないかと思えるほど、壱伽との相性が良すぎた。
「いい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっ」
乱暴にただただ抉られるだけでも壱伽は快楽を得られるけれど、その時に目を開く必ず必死な宮辻の顔が見えて、それで壱伽はホッとする。
 ああ、夢中になってくれている、この身体にと。
「あ゛あぁっ……滉毅のおちんぽしゅごいっ、、ああっ、あっ、やああっあっあんっあっあ゛っ……ん、すきっおちんぽすきぃっ……おま○こっハメハメされて、きもちよくてイキまくっちゃうっ……あ゛っ……いい……おま〇こきもちぃっあぁあんっあんっ」
「壱伽……壱伽っ」
「いいっきもちいいっおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……こすっちゃっああんっああっ、すきっ好きっ、おちんぽしゅきぃっ……あ゛っあ゛っ、あっ、きもちいとこっ、ゴリゴリされてっんっあっあああんっ」
 鐘の音が鳴っている。
 そろそろ最終講義が終わり、学生があちこちから帰宅に付いたり、クラブや同好会などに集まり始める時間だ。
 宮辻は音を聞いてラストスパートに入る。
「ああ……滉毅のすきっおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっ滉毅のおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっああんっ」
「……うっあ、いくっ」
「あっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんっああっすごいっおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ! いくいくっいくぅぅっあああっ!!」
 頭の中が真っ白になるような絶頂をして、壱伽は体をガクガクと震わせたあと、快楽の余韻に浸りながらぐったりとする。
 その間に宮辻はペニスを抜いてしまい、コンドームを外す。
 その中にはたっぷりと多すぎる精液が溢れていて、壱伽はそれを見て少し笑みが零れる。ちゃんと宮辻が気持ちよくなってくれ、射精をしてくれたことが嬉しいのだ。
 そんな壱伽の笑みに宮辻は壱伽にキスをする。
 壱伽はそれを受け入れて射精をしていなかったペニスを扱いてもらって絶頂をした。
 たっぷりと精液を吐き出してしまうと、いわゆる賢者タイムではないが、性欲が少しだけ落ち着く。
 セックス中は精液を吐き出しても全然収まらないのに、こういうときは収まってくれるから頭の切替えができているのだろうかと壱伽は不思議になる。
 すると側に置いていた荷物からメッセージアプリの電話が鳴っている。
「あ……電話……」
 壱伽はそれを取り出して電話に出た。
 まだトイレの個室であるが、狭いので先に宮辻がドアを開けて外に出た。
 壱伽はまだ下半身を丸出しにしたままで便座に座って電話を受ける。
「あ、獅來(しき)? なに? なんか用? え? 会うの? いいけど、それでいつもの居酒屋でいい? うん、二十分で、はい」
 壱伽は電話でそれだけ言って切ると、すぐに服を着た。
 トイレから出ると、宮辻が待っていて誰も外にいないように見張っててくれたが、すぐに宮辻は言った。
「用事、あんだろ? じゃ、ここで」
「……あ、うん」
 あれだけの熱を持っていたセックスをしたのに、宮辻はあっさりと壱伽に別れを告げて去っていく。
 それは普段甘い宮辻から感じたことはない、ちょっとした距離だった。
 いつもならキスの一つもしてくれるし、明日の予定も聞いてくれるはずである。今日はそれがなかった。
 そのことに壱伽は少しの不安と、心に罅(ひび)が入る音が聞こえたのを感じた。

感想



選択式


メッセージは文字まで、同一IPアドレスからの送信は一日回まで