モノポリーシリーズ 37°C

2

 周りは酒で盛り上がり、隣の飲み会は始まりから騒々しい。
 障子一枚ではもちろんその騒動は筒抜けであるが、代わりにこちらの部屋は静かなものだった。
 ただ熱量は外よりも多かったのだろう。
「ね、ちゃんとできるか、やってみなきゃ分からないって」
 壱伽はそう言って乗り気で宮辻の股間を弄り始め、さっさとファスナーを下げていく。そして遠慮なく手を突っ込み、宮辻のペニスを取り出している。
「わーわーちょっと待てって……早まるな……」
「大丈夫大丈夫、ネコに舐められるだけだから」
「いや、そういうことじゃなくて……何であんたにやってもらうことになってんだよっ」
「いいからいいから……あ、すごい、大きい……いただきますっ」
「……おまっ……くっっそっ!」
 宮辻のペニスをさっさと出して簡単に扱いてから、壱伽はすぐにそれを口に咥えた。
「んっ……んっ……んっ……んっ、んっ、んんっ──」
拒否して何度か壱伽を引きはがそうとはするが、壱伽が宮辻のペニスに少しだけ歯を立てたことで、その抵抗は弱まる。
「噛むんじゃねえ……くそがっ」
「んっ、まあ、急所を握られてるんだから、大人しくしててね、ぅっ、んっんっんっんっ……!」
しっかりと壱伽は宮辻のペニスを握り先を口に含んで美味しそうに舐め始める。
 宮辻としては引き離したいが、ペニスを握られている以上、下手な引き剥がしをしたらペニスがどうなるか分からない。
 こうなってしまったら、壱伽に好きにさせてやるしかない。
 幸いではあるが、ペニスを舐められているだけだ。何も掘られるわけでもない。
 まして自分から望んだわけでもなかったし、無理矢理させているわけでもない。
 襲われているから仕方ないという状況だから、宮辻はそれで自分を納得させることにした。
「……くっ」
「んっ──……んっ、ふっ、ふっ、っ、」
 それにしても壱伽はフェラチオが上手かった。
 さすがに経験者というだけのことはあるが、それでも人の弱点を知り尽くしているというように反応がないところはあっさりとして宮辻が反応したところはしっかりと攻めてくる。
「ふっ……くっ……」
「ん……は……、……ん……っん……っ、……く、ぅん……んんんんぅうう……っ!」
ジュルジュルと吸い上げて壱伽は宮辻のペニスを咥えて扱き上げ、宮辻のペニスはすっかり勃起してしまった。
「くっ……」
「んっ……ん、ぅ……っふ……んんん……っん、ふぅ……っ、ぅ、ぅんん……っ」
完全に勃起をさせてから壱伽は口から宮辻のペニスを抜いた。
「ふふ、完成したね……勃起したら溜まらなく大きいんだね……うふ、もっと欲しくなっちゃった」
 壱伽はそう言いながら、パンツを脱ぎ下着まで脱いで横にそれを置いた。
「お、おい、お前……」
 宮辻が唖然としている間に壱伽はさっさと宮辻のペニスをもう一度舐めた。。
「美味しそうだから頂戴ね……はぅむぅうう……っ! んんん……っ」
「お前……くそっバレたらどうすんだ……っ」
「ん゛んーっ! ん゛ん゛ふ、ん゛んんんっ!!」
宮辻が何とか止めさせそうとするも、壱伽はそれを押さえ込むようにして勃起している宮辻のペニスにコンドームを被せると腰を落とした。
「あぁう……っあ……っ……すごい……はあんっ」
「な、なに……考えて……くっ」
「んぁあ……っあぁ……!んん……っはあん……はいった……あはっすごいビクビクしてる滉毅くんのおちんぽ……っ」
「お前……名前……」
「知ってるよ……そう呼ばれてたの聞いたから……あはっおちんぽっすごい……ああんっ」
壱伽は完全に宮辻のペニスをアナルに突き挿入てから、それを感じているようで蕩けた顔をしていた。
その顔は確かに笑っているけれど、その色香はさっきまでの比ではない。
 ゾクリとするくらいに妖艶な顔をしている壱伽に宮辻のペニスが更に反応をしてしまう。
「あっ、あっ、あ……! すごい……あっうっんっ……」
 壱伽はゆるりと腰を振り、宮辻の上で踊るように動いた。
「んぁっ……、ああ……っふぁ……っ」
大きな声が出ないようにして何とか小さな声で息をするも、その声は必死に押し殺している。けれどその息づかいははっきりと分かるくらいの近さにいる宮辻には甘い壱伽の喘ぎが聞こえた。
「はあぁ……っ……、おちんぽっいいっあぅ……ああぁ……っ」
壱伽が腰を振って踊っているのを宮辻は眺めているけれど、それがどんどん淫らになるだけ宮辻の興奮も呼び起こしてくる。
「あ、は……あぅ、あうぅ……んんっ……は、あー……っ」
宮辻は男なんて抱けるわけもないと思っていたのに、実際はそうではなかった。
 相手によるという言葉に納得できるくらいに今、最高に興奮をしている。
 彼女の受験のために離れてから、彼女のためだと思って我慢をしてきたから、持て余した性欲が一気に呼び起こされてきた。
「くそっ……」
「あ、んっ……あぁっ……あ……くぅ、あぁっ」
隣から大きな笑い声や話し声が聞こえてくるけれど、さすがに小さな声で盛っている二人の声は漏れてはいないらしい。
 二つの宴会が重なっているから余計に五月蠅く、店員も忙しいからか呼ばれないことをいいことに誰も部屋には入ってこない。
「ああっ、あっ、あっ……く、ふう、ううぅん……っ」
「もう、どうにでもなれ……」
とうとう宮辻も我慢ができなくなり、壱伽の腰を掴むと壱伽の体を持ち上げて腰を動かしながらペニスを奥まで突き挿入れた。
「あ……っ、だめ、それ……っはあっ……だめ……あぁ、あんっ……っ」
急激に主導権を宮辻に捕まれた壱伽は、声が漏れるのを慌てて口で押さえる。
「ああぁ……っ、んあっ、はぁ、おちんぽっいいっはぁうっ……」
ガンガンと奥までペニスを突き入れられて、壱伽は気持ちよさを感じながら絶頂しそうになる自分のペニスにもコンドームを付けた。
「は……っ、おちんぽっはふぅ……っ、滉毅のおちんぽっいいっ……んんうぅう……っ、はぁ……あっ、あぁん……っ」
壱伽はそう言いながら、持っていたコンドームが一ダースあるのを宮辻に見せつける。
「……っ」
「あっ! はあっ、あっ……あ、い……っ、ああっ!」
宮辻は壱伽を突き上げて腰を動かして、とうとう射精をした。
「はぁ……あぁ……っ」
「あはっんっでた……っああ、いいっ……はんっ」
 宮辻の射精を感じ、壱伽はそれを感じて気持ちよくなっていた。
 ズルリとアナルから宮辻のペニスを抜くと、宮辻は少しだけ放心していたけれど、そこからだった。
「さて……って……あっちょっと……あんっ」
 ガタリと音を立てて床に倒された壱伽は、ハッとして宮辻を見る。
「たく、どいつもこいつも自分の欲望に正直で、腹が立つ。こっちの気も知らないで、煽るだけ煽ってくれて、本当にっ」
 宮辻はそう言いながら、最初に付けていたコンドームを外して括り付けると、また新しいコンドームをまだ勃起しているペニスに付けた。
「え……わ……すごい……」
 宮辻の勃起しているペニスを見た壱伽は、恐怖の顔ではなく、期待の眼差しであることに宮辻は気付いた。
「この淫乱、犯してやるよ、もちろん大声は出すなよ?」
 完全に切れた宮辻は、壱伽の足を大きく広げさせるとすぐさま壱伽の中に戻ってきた。
「ひゃあっ! ……んああ、ああ……あぁあっ…… あ、あっ……あ、んんぅ」
壱伽は宮辻に無理矢理ペニスを突き入れられて悲鳴が上がってしまったが、それは外の宴会の騒音にかき消された。
「あぁあっ、はぅん……っ、あ、あ、あぁあああっ あぁ……っ、あぁ、あ……っ」
 少しの喘ぎ声くらいは外の宴会の騒音で簡単に消されてしまい、二人はそのまま夢中で腰を振ってセックスを楽しんでしまった。
「あぁっ……、あ、ぁんっ、あっ……いい……っん……っ、んは……っ」
「く……ふっ……」
 パンパンと肌を打ち鳴らす音があまり大きくならないようにゆるりとした動きで宮辻は腰を振り、壱伽はその手管によって宮辻のことを見誤っていたことを知る。
「んは……っ、おちんぽっあぁ、……は、はぁ……っ、いい……はぁ……っ」
宮辻は暗いけれど、実はそれは彼女のせいで悩んでいただけで、それ以外では普通なのだ。だから性欲も人一倍あるけれど、ただ問題は宮辻がずっとセックスができずに性欲が何倍も溜まっていたままであったことだ。
「ひんっあ、ん……、いいっ……あ……っあ、いい……っあぁん……っあふ、……ぁ、あ、おちんぽっいい……っ」
その宮辻のペニスは非常に壱伽の中にフィットしていた。
 予想外の相性の良さがあることに壱伽は気付いてしまい、今更ながらに後悔をし始める。
 ただちょっと宮辻を困らせてやりたかっただけで、セックスまでするつもりもなかった。なのに宮辻以上に壱伽も恋人に振られてから性欲が発散できずにいたせいで、好みの顔をしている宮辻を襲ってしまった。これが誤算だ。
「あっ……、は、はっ、ぁ……っぁ……っ、ぁん、あぁっ、ああ……っ」
とてもじゃないが、それまでのセックスとは何だったのかと思えるくらいに、宮辻のペニスは壱伽のいいところを擦り上げ、奥まで届いている。
 その感触が気持ちよくて壱伽はやっと二股で振られたというショックから立ち直ってしまった。
碌でもない男に引っかかっていたことももやもやしていた理由だけれど、性欲が多い方である壱伽には、宮辻くらいの性欲の高さがある人の方がよかった。
 別に元彼がそこまで性欲がなかったわけではない。アレは他にも手を出していたからこそ一人一人に淡泊だっただけだ。
「あぁっ、あぁん……っんはっ、あぁっ、あああっ らめぇ……っおま○こ、おくっあぁ……っ」
「……ここだろ? お前の奧っていうのは……」
「あぁ……あ……っあ、あ……っぁあっ あ、あっいい……」
「分かってきた……お前の中……」
「ぁあ……っあっ、あっ……あぁっ! ふぁ……ぁ、ん……んぅ」
「ここじゃ、目一杯お前の声が聞けない……ホテルへ行こう」
 宮辻がこれじゃ満足しないと言い出し、壱伽に許可を求めてくる。
 それは三次会を意味する。二次会でそれなりに良さを知って、男を抱けるかと言っていた人が壱伽を抱きながらまだ足りないとセックスを強請ってくる。
 それは壱伽にとって嬉しい出来事だった。
「あぁあ ぁあ……っ、うん、いくっ滉毅くんのおちんぽ、もっとくれるなら、ホテルもいくっおちんぽっいぃ……っ、おま○こいっぱいにして……あっ、あっ、ああ……っあぅっ」
「お前、なんて誘い方だ……くそっ中出ししてえよ……」
「んは……っはぁ、はぁ、ホテルいったら、おちんぽ精液、おま○こに出していいよ……ああ、ぅあっ……っぼくもおま○こに滉毅くんの精液欲しい……のっああああっ」
「一年分の性欲ぶつけてやるよっ……壱伽」
「あっあっあっあっ……ぁぅ……っ!」
急に名前を呼ばれ、壱伽はドキリとしながらそのまま絶頂をした。
「っ! っ! ふうっ! っ! っ!」
 壱伽の絶頂に合わせて宮辻も中で射精をするも、コンドームがそれを受け止める。
壱伽のペニスにもコンドームをしていたから、壱伽も射精をしていることが宮辻にも分かった。
 ちゃんと壱伽も気持ちよくなれていて射精もしたのを知って、宮辻は壱伽の耳を舐めながら言うのだ。
「壱伽、中にたっぷり出してやるからな……ここに……」
 そう言い、ぽっかりと空いている壱伽のアナルに半勃起になっている宮辻の生のペニスが挿入り込む。
「え、……あっうそっ……あああああっん!」
 宮辻は生で壱伽のアナルの奥までペニスを突き挿入れて、奧を三回ほど突き上げてからペニスを抜いた。
 壱伽の大きな声が出たけれど、それも隣の宴会が終わった声と騒ぎにかき消されていく。
 二人は慌ててパンツを直したり着たりして、飲んでなかったウイスキーを一気に飲んだ。もちろんウイスキーは氷が全部溶けていて薄い水割りになっていたけれど、それはそれで喉が渇いている二人にはちょうどよかった。
「滉毅くん、めちゃくちゃエッチ」
 最初の拒否は何だったのかと、壱伽が少しむくれていると、宮辻はそれに首を傾げる。
「一年分の性欲があるんで、これで済むなんて思ってないよな?」
 完全に開き直っている宮辻は、男もというよりも壱伽なら抱けると判断して、股間を硬くできるのは仕方ないと思ったようだった。
 それで性欲を一刻も早く解放したいのか、ウイスキーの二杯目を飲んでいる壱伽の首筋に噛みついている。
「滉毅くんってそういう趣味もあるんだ?」
「別に、お前は噛んでもいいなって思ったから……てかなんで、噛みたいんだろうな」
 宮辻にも理由は分からないけれど、壱伽の首筋を噛みたいのだと言い、そこを本当に噛んで跡をつけると舌で嬲ってくる始末だ。
 外の宴会が二つとも同時に終わったせいで、廊下が人だらけになっているまま時間が五分ほど過ぎ、やっと店員がやってきて声を掛けてくれた。
「お客さん、すみません。ほったらかしで……」
「あ、大丈夫です、ちょっと寝ちゃってたから」
 上手く壱伽がそう言って誤魔化した。
 使ったコンドームは壱伽がさっとゴミ袋に入れて鞄にしまい込んでしまう。
 そのまま会計をしてもらってウイスキー四杯だけで二人は二時間もセックスをしていたことを知った。
「二時間たっぷりコースだったな」
「えへ、そんなに時間経ってたんだ。でも足りないから不思議」
 壱伽はそう言ってあっけらかんと笑っている。
 その明るさが宮辻には救いで、壱伽が望むならばもっと壱伽を抱きたいと思えてきたから不思議だった。
「ラブホテルにしようね。普通のホテルじゃ後片付け面倒だもん」
「そっちがそれでいいなら、それで」
「いやっほーあ、今回が僕の奢りね。急だったから、予備ないでしょ?」
壱伽が言うように、宮辻は予備のお金はなかった。カードが使えるならそれで行こうと思っていたけれど、壱伽はそれを止めて言う。
「僕、今リッチなの、いいから奢らせてね」
「分かった、素直に奢られておく」
 壱伽が言い出したら聞かない性格なのはもう分かってきたので、このことで揉めるよりもセックスのことで文句を言わせたいと宮辻は思った。
 二人はそのまま壱伽の選んだラブホテルに入る。
 それは朝までコースどころか、一日コースレベルの性欲の解放時間になるとは壱伽も宮辻も思いもしなかったのだった。

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