眩いばかり
8
会社から戻った二人だったけれど、佳鈴は疲れていたので一回寝た。
そして起きてからは二人はベッドで寝転がって話をした。
それはこれからのことだ。
今回のことで理一は、佳鈴の事件を持ち出して上司を巻き込み、赤峰崇志を会社から追い出すことに成功をした。
それは自動的に理一が部長の椅子を手に入れることになり、うるさかった狐塚取締役は理一たちに弱みを握られた形になり、実質理一の味方になった。
住野取締役と狐塚取締役を味方に付けて、更に部長から監査役に昇進する今崎までも味方に付いたら、理一の会社での地位はほぼ安泰となった。
部長から更に役員までのエリートコースが確定したようなものだった。
しかし理一はそこでエリートとして生きてきた自分の道に疑問を抱いた。
それは佳鈴さえいれば、もうそれだけでいいと思ってしまったことだった。
それでもその佳鈴が、理一から仕事を奪うことはしないどころか、更に上を目指して欲しいと言った。
「僕が卒業した時に部長付の秘書になるし、役員になったらそのまま役員秘書になるから、理一さんと一緒に仕事がしたい」
そうした目標を佳鈴が言うから、理一は会社を辞められなくなった。
「僕はまだ大学生で、準一級秘書検定も受けるし、卒業するまでは仕方ないにしても、僕が就職活動したら真っ先にコネで雇ってね」
冗談交じりで佳鈴が言うけれど、理一は頷いた。
「必ず佳鈴を雇うよ、佳鈴と一緒に仕事ができるかもしれないなんて、なんて張り合いがある仕事なんだと思った」
理一が笑って言うので、佳鈴も笑った。
価値観が全て変わってしまったという理一は、再会したときから佳鈴が中心の生活になってどんどん佳鈴を手放せなくなったと言う。
「私に大事なモノはなかったけれど、佳鈴がそれを作ってくれた」
「なら……僕を抱いて下さい……本当の意味で、理一さんのものにしてください……」
佳鈴はそう願った。
理一は佳鈴の手を取り、佳鈴を抱いた。
「あ゛あぁーっ、あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ、んっあひっあんっうああぁっ」
性急に進む行為は、理一の理性すらも限界になっている気がして佳鈴は嬉しかった。
身体は散々犯された後だったし、洗って貰っていたのもあり、アナルだって簡単に理一を受け入れた。
「ひああぁっ……あひっ、ん゛っあっあああっ、ひあぁっ、ああああぁ……っ」
「佳鈴……ああ、すごい……中が私を受け入れてくれる……」
「あひぃっ、理一さんっあ゛っうっんっ、あんっあんっあんっあんっ」
理一の性器はそれまでの誰よりも長く奥まで届いた。大きさだって大きい方だったから、佳鈴はそれまで佳鈴の身体を抱いてきた誰よりも理一の性器で感じた。
「あぁあうっ……っあっはっいひ……っいいぁああ……っふ、ふぁ……っ!」
セックスが気持ちが良いのは知っている。
けれど心まで満たされたような気分で抱かれるのは初めてだった。
佳鈴にとってセックスは取引のための材料であり、自分が生きていくための代償として求められるものだった。
時には勝手に奪われ、強制される行為でもある。
それが今は違った。
「ひ、ひぁああああっ ひっひぃ、っひ……ぁあん……っ!」
「佳鈴、愛しているよ……私の佳鈴」
「あぁ、理一、さんっ……あ、ぁあ……っうれしい、ぁ、ぁあうっふ、ふひ……っんっぁ、あーっあ、あっ、あっあっ……ぁあっ!」
中を奥深く抉られることで、心が満たされて嬉しくて泣けてくるほどだ。
こんなに好きな人とするセックスが想像以上によくて、佳鈴は過去を思うと本当に馬鹿なことをしたと思い知った。
「あ、あ、あっ……あっひっあっぁあっぁひぃっあっ……あぁっあっひぁあっ」
嬌声を上げても恥ずかしくはない。聞いているのは理一だけで理一には聞いて欲しい。
こんなに気持ちが良いのはあなたが素晴らしいからと言える。
「あぁあっ……理一さんっいいっああっ! あっあっあぁうっひぁっぁあん!」
「佳鈴……なんて可愛いんだ……佳鈴……」
「あぁあうっ……理一さんっあー! あっすきっすきっあひぃっひっあっあっ……あ――っ!!」
追い上げられて佳鈴が達するも、理一は腰を動かすのをやめない。
繋がっている箇所から佳鈴は、どんどん理一の色に染まっている気がして、それが心から嬉しかった。
「あああんっ!! あっ、ひぁっ、んぁっはぁんっ!!」
汚れてしまったと思っていたけれど、理一はそんな佳鈴を抱くことで癒やしてくれる。
「ああっあーっ! 理一さんぁっ、いいっ、あっ、ああぁっ」
喘いでいる佳鈴の唇に理一はキスをした。
触れて離れてそしてまた触れてと、理一はそれを繰り返す間、腰を動かさなかったけれど、佳鈴は気持ちよくて腰を自ら振った。
「んふんんっんぁー! んっあぁっ、あんっ、ふぁっ、ん……はあんっ!」
蕩けるようなキスで、舌を絡め合い、ただ理一に佳鈴は甘えた。
「はぁん……ん、ん……んはぁ……っ、あぁんっ」
腰を擦り付けていると理一は腰を左右に動かし、奥を抉ってくる。
「あぁっ……そ、そんな、あんっあっ、あっ、はぁんっ……ひゃっ、あぁっああっ……あひぃっ! あっあんっ……ぁんっ、はぁっ……ああんっはあああんっ!」
そこまでじっくりと奧を執拗にされたことはなくて、佳鈴はドライで絶頂をした。
頭が真っ白になって飛ぶのは、前にもあったけれど、幸福感に包まれて絶頂をしたのは初めてだった。
「はぁっ……、あっ……あぁん……、やらぁ……は、ぁ……ああんぁ……あぁっあぁっ、ぁああんっ!」
「佳鈴、もっともっと感じて……私に全てを見せてくれ……私の佳鈴……美しい」
「あっ、理一さぁんっ……んっ、あっ……あぁんっ! あっ……はぁっ、はぁっ……あぁぅっ! あんっあんっあぁんっ」
「中に……私の精液を中出ししてあげるからね……」
「やぁあっ、あっ、ちょうらいっあっあっ……ああーっ! なかにちょうらいっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっはぁっ……あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
「はっ出すよっ」
「ああああぁーっ! あっ、あっ、あんっ、あんっぁあんっ!! ひゃああっ! あぁっ、あっあっ……はぁんっ、あぁあんっ」
奧に理一の暖かさを感じて、佳鈴は絶頂をした。
その暖かさは佳鈴を包み込むような暖かさで、佳鈴はまた泣いてしまった。
理一を好きだと思ったけれどそれでは足りないほどの気持ちが生まれて、佳鈴は初めてそれ以上の感情を知った。
「ああぁっんっはぁっ……理一さんっ愛しているっあっあんっあんっ」
それを聞いた理一は嬉しそうに笑って、佳鈴の奧を更に突き上げてきた。
「ひあぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
「佳鈴、私の佳鈴……愛している……」
「いいっああっいいっあっ……あっあひっい゛っあっあんっ!」
どんどん理一の腰使いは荒くなり、佳鈴をどんどん追い上げてくる。
「あっあんあんああっああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
「佳鈴、どんどん見せて……佳鈴のいやらしいところを……」
「あひっああっあ゛っあんっあんっあんっあっひっあああんっ」
パンパンと肌が触れあう音が部屋中に響き、佳鈴の嬌声がそれに合わせて淫らに上がる。
「あ゛ひっあひっんっあっあんっんっやぁっんっあ゛はっうあっん」
「いいよ、佳鈴、私で気持ちよくなってくれ」
「んっ好き、きもちい、ふぁっ……ひぁっあっあ゛っいいっ……あぁんっ」
「可愛い佳鈴……中がうねって凄いよ……」
「あぁあん……はぁっ、ぁ、ん……ん……、ふぅ、んっ」
「この辺りが気持ちが良いんだね。しっかりと締め付けてきて、いやらしい子」
「んんっ、ふぁっ、あん、ん……あぁっ……あ゛っらめぇっ……あっあんっ」
緩く入り口で出し入れをされ、いいところを擦られ続ける。
「あっぁあっ、んっひゃぁっ……あ゛っひっ、あぁっ、そんなっ、あんっあ゛ひっ……ぅあ、あっあぁんっ! あひっ、ぁあっ、あっあっあっ」
もう佳鈴の頭の中はセックスのことばかりが浮かんだ。
あんな目に遭っても、佳鈴はそれを理一が癒やしてくれるのを感じた。
理一で感じれば、過去も何もかもがただの過去になる。
「あひっ、あっぁっ、ふぁっ、あぁんっ! あぁんっいいっ、あんっあんっ、あっふぅっ、ひあぁっ」
塗り替えられるように記憶が全て新しくなり、佳鈴の身体も新しくなっていく気がした。
「んっあぁっあぅっ、ゴリゴリされるの気持ちいいっ……あっあひっあ゛んっあっあっんっ!」
「分かるよ、ここがいいって中が言ってる」
「ひっあっ、あんっいいっ、あぁっいいっ、いっぱいされてっあんっきもちいいっひああっんっ!」
「もっと気持ちよくなって佳鈴、もっと私を愛して……」
「あんっ!ぁあっ、あっ、あひぃっひあぁっあひっ、あ゛っ、らめぇっ……壊れるっあぁっあっ」
「大丈夫、しっかりと私を飲み込んで美味しそうにしているよ」
「あんっ、あぁっ、はっいいっ、いいよぉっ……あっひあああぁんっ!」
どんどん追い上げられて佳鈴はドライで達した。
身体が痙攣しているけれど、射精を伴わない絶頂は長く、佳鈴はそれが気に入った。
「あぁっすごい……っ、おっきくて、びくびくして、きもちいいよぉっあぁんっ!」
理一の性器の形も気に入ったし、それが気持ちよくてどうしようもないけれど、嬌声を上げていくとどんどん理一に追い上げられた。
「あ゛ああっいいっいい、きもちいいっ……あんっあんっあんっ、いくっあああっ!」
また絶頂をすると、今度は理一と一緒に絶頂をしていた。
精液が中で吐き出されて、それが暖かくて佳鈴は幸せな気分で絶頂ができた。
「もうちょっと、佳鈴、付き合ってね」
「あああぁっ! あああぁっ、あんっあんっ、い゛いっあぁっいいっ気持ちいっ……ぁあ、はぁんっいいよぉっあんっあんっあんっ」
理一の性欲は止まることはなく、深夜になるまでセックスは続いて、佳鈴はそれを受け止めながら、身体中で理一を感じた。
それが恋であり、愛であり、自らの心にきちんと芽生えた確かな気持ち。
その心地よさは、佳鈴が初めて得た感情であり、それ以上はきっとありはしないと思った。
その翌日から佳鈴は三日ほど大学を休んだ。
誘拐されてから三日と合わせ、一週間は大学を休んだせいで、鹿嶋には何があったと散々聞かれたけれど、佳鈴は言うのだ。
「うん、全部が上手くいってね、理一さんと恋人になったんだ」
そう佳鈴が言うと、鹿嶋は少し驚いたようにしてから、やっと納得したように溜め息を吐いた。
「なんだよ、やっぱり付き合ってるようなもんじゃん。あの人、そういうところを隠して何食わぬ顔で凄いな」
「どういうこと?」
佳鈴が鹿嶋に聞き返すと、鹿嶋は言った。
「最初にお前を泣かせた時に、連絡取ったらさ。お前のことを信じられない人にお前は渡さないって言われた。もしそういう気があるならこのまま身を引けって、お前が悲しい思いをするだけだって、すっげー俺のことを排除しようとした」
鹿嶋がそう理一に言われたと言うので、佳鈴は笑ってしまう。
理一はかなり早い段階から、佳鈴のために色々と行動をしていたらしい。余裕があるように見えて、意外に余裕はなかったのかもしれない。
「まあ、お前が幸せそうだからいいと思うよ」
「うん、そうだね」
佳鈴は笑顔で頷いた。
鹿嶋はそれにホッとしたようで、それ以上突っ込んだことは聞かなかった。
やがて秘書検定の日がやってきて、佳鈴と鹿嶋はそれを受けた。
二人とも合格をして資格を得られ、佳鈴は次の検定に向けて勉強を始め、さらには理一の会社で秘書課の雑用を手伝うバイトを始めた。
そこでは鹿嶋も雇われ、バイトに励んでいる。
鹿嶋は今崎監査役の秘書として連れて行かれるけれど、毎回今崎に無理難題を言われているようである。
佳鈴は秘書課の仕事をしっかりと習い、将来ここに就職するという佳鈴のことを秘書課全員で教育してくれた。
ほぼ大学の終わった後なので、書類を揃えたりパソコンで清書したりしているだけであるが、それでも時間があるときは詳しいスケジュール調整などを習った。
本で勉強をするよりも遙かに勉強になって、佳鈴はどんどんその仕事が楽しくなった。
やがて大学を卒業すると理一の秘書として就職をした。
一緒に住んでいるという状況から、佳鈴は理一の全ての管理を行い、食事などもより一層気をつけるようになっていった。
「理一さん、そろそろ起きなきゃ……今日はアメリカの○○社と打ち合わせがありますよ~」
佳鈴がそう起こしに来ると、理一は起きそうにしながらも佳鈴を布団に押し倒してくる。
「……まだ時間はある、一回中で出させて……」
理一がそう言って佳鈴の服を脱がし、すぐに襲いかかる。
仕事中は真面目になる理一であるが、こういうときに可愛い我が儘を言うようになっていて、佳鈴はそれが可愛いから拒めない。
いつでも挿入ができるように佳鈴は常にアナルを綺麗にしている。理一が朝に盛るようになっているせいもあり、許容範囲を増やした。
連日の忙しい日はセックスもできないけれど、朝のこの時間は佳鈴も待ちわびるくらいに濃厚な一回になるから性欲はそこで発散される。
「ああっ理一さん……ああぁんっ! あ、おおきいのはいって……あっあんっあんっあっああっあっああっ……いいっあっあっあんっんっああぁっ」
「イヤラシい子だ、こうなるのが分かっていて、準備万端にローションまで塗り込んで」
簡単に理一の性器を飲み込んでしまうアナルを卑猥だと言う理一であるが、最初から半勃起だった性器が完全に硬くなっていく。
それを佳鈴は感じながら受け止めて、しっかりと内壁で締め付ける。
「あああっ! だってっしてほしいからっあひっあっあっあ゛っあ゛ああっひああっあっあっあんっ」
激しく突き上げられて、早急にされる行為であるが、ゆったりとする時とこういう感じとセックスの違いが出ていて、佳鈴はどっちも好きだった。
「ひああぁっ! あっあんっあんっあんっああんっあっいいのっいいっ……ひあっあっあっあっ」
乱暴に突き上げられて、早々に絶頂をさせられた後は精液を口の中に出される。
「んんっ……ふぅっ、んっ、んっ、んぅ……はぁんっ」
佳鈴はそれらを全て飲み込んでニコリと笑って理一に言った。
「朝ご飯、用意してあるから……ね」
「佳鈴、可愛いね……私の精液は美味しいかい?」
「……んっはい……」
佳鈴は精液をちゃんと飲んだのを見せると、理一はそれで満足したように微笑む。
「いい子だ、佳鈴」
そんな佳鈴の額に理一がキスをする。
そして部屋を出て行くと、佳鈴は洗面所に行って口の中を綺麗にしてから食事の席に着いた。
コーヒーはいつも理一が入れてくれて、それが置かれたところに佳鈴が戻ってきて、二人で食事を取る。
スケジュールを話し合いながら細かい部分を決め、それをタブレットで管理している。
急いで食事をして片付けてから、着替えをして二人で一緒に家を出る。
佳鈴がこの部屋に住み始めてから、もう五年が過ぎた。
何の意味もなかった佳鈴の過去と同じだけの濃密な五年。
それを佳鈴はとても愛おしく思っていて、それらはすべて理一によって齎されたのだと思っている。
「理一さん、愛してます」
そう佳鈴が言うと理一は笑う。
「知ってるよ、私の方がきっと佳鈴を愛しているけれどね」
理一が自分の大きな愛を見せつけてくるので、佳鈴はいつもそれで笑顔になってしまう。
さあ、今日も眩いばかりの日常が始まる。
無意味な過去は消え、有益でそして未来に繋がる今を佳鈴は理一の手を取って生きていくのだった。
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