carry off
7
湊谷峻はよくよく考えてみれば、親しい人がいなかった。
大学の約三年間を阿達辰也との付き合いに費やし、人付き合いは同回生のみで飲み会にも参加はほぼしていなかった。
だからこんな時に頼るような人間関係が構築されていない。
さらに今の付き合い程度でなだれ込める場所の人間は、きっと皆同じ事を言うだろう。
「真中先輩を頼ればいい」
嘘の付き合いを告白したせいで、逆に逃げ道がなかった。
峻はそういう関係ではない、ただ身体の関係でしかない真中が助ける義理もない出来事に巻き込まれてくれるとは思わなかった。
ぎりぎりまで考えて、そして大きな荷物をキャリーで引き摺って、とりあえずはホテルに入ろうと思い、駅前のホテルに行った。
なんとかビジネスホテルの一室が空いていて、激安の一泊三千円という寝るだけの部屋を確保した。トイレ以外は共有で、風呂は銭湯みたいな感じである。
「良かった泊まれた……でも明日からどうしよう。貯金は少しあるけど部屋探ししなきゃ……」
ネットが繋がる部屋だったので、風呂に早々に入ってからはスマホでアパート探しを始めた。
引っ越せばどうにかあの手紙を入れた人間からは逃れられると思った。
最悪は就職を蹴って、地元に帰ることくらいだ。
幸い、峻と阿達の実家のある県は飛行機の距離で離れている。
北海道と九州というような距離なので、早々阿達が尋ねてくることもないだろう。
東京の今の就職先に行くなら、それなりの家を見つけないといけなかったのだが、この時期にいいところが空いているわけもなく、予算オーバーのところしか見つからない。
一番は今住んでいるマンションが立地もよく交通の便も良いことだ。
親の知り合いの持ちマンションで安くして貰っているからできれば出たくはない。
危険を犯してでも住み続けるか、どうするか悩んでいると、峻のスマホが鳴った。
表示されている文字は真中であり、いつの間に番号や名前を登録したんだろうとぼんやりと峻は思ってから出た。
「……はい」
『何処に居る』
「……家に」
『その家に今居るが、何処に居る?』
どうやら真中は峻の部屋に今居るらしい。
「どうやって中に……」
『鍵が開いていた。変な手紙が玄関先にあって読んだ。何処に居る?』
真中は事情を把握した上で、峻の居所を知りたいのだと言ってくる。
「……ホテルだから大丈夫です」
『何処のホテルだ?』
「えっと……○○ホテルです」
『迎えに行くから、荷物片付けて準備してろ』
そう言いながら慌てているような玄関の閉まる音が聞こえて電話が切れた。
「……なんで俺の家にいるんだ?」
不思議になってしまったが、せっかく取ったホテルなのに泊ることもなく出る羽目になるとは思わなかった。
とにかく荷物を片付け、部屋に居るとまたスマホがなって真中がホテルに着いたから下りてこいと言った。
エレベーターに乗って下りると、その下りた先で真中が真剣な顔をして立っている。
「……あの」
どうしたんだと峻が思っていると、真中が峻に抱きついて言った。
「何かあったと思っただろう……なんで俺にすぐ連絡をしない?」
そう真剣に真中に言われて、峻は戸惑った。
「……だって、その、そういう関係ではないし……ただちょっとパニックになったからっていうのもあって……その」
どうしていいのか分からなかったのだと正直に言うと、真中は真剣な顔のまま峻を連れてホテルを出た。
「あ、会計……」
「もうした。タクシーに乗れ」
そう言われてホテル前に止まっているタクシーに乗せられた。
荷物は取り上げられて、トランクルームに乗せられてしまい、真中が乗り込むとタクシーはすぐに動き始めた。
真中が告げた行き先は、真中のマンションがある場所ではなかった。
何処に行くのだろうかと思っていると、住宅街に入っていく。この辺りの時価は相当高い場所で、豪邸ばかりが並んでいる。
そうした中で少し小高い丘の上に立っている家の前でタクシーは止まった。
言われるまま峻は下りて、荷物は真中が持ってしまい、目の前の大きな門の横にある引き戸から中に入った。
大きな塀は洋館を取り囲むようになっていて、泥棒が上れないように返しなどが付いている。その庭は大きな木がたくさんあり、玄関まで少し遠かった。
峻は何も言わずに後ろを振り返ると、空が街の灯りに照らされているのか星空が見えなかった。
それだけ繁華街に近いのに、静かなのも住宅街のお陰なのだろうか。
「湊谷」
立ち止まっていると真中に呼ばれてしまい、峻は慌てて真中の後を追った。
大きな玄関を潜ると、そこは派手な装飾がされた豪邸だった。
「ちなみに俺の趣味じゃなく、親が勝手に装飾しただけだ」
そう真中が言い訳をしたので、ちょっとだけ峻は笑ってしまう。
「ここは真中先輩の家ですか?」
「俺が育った家だ。両親は海外に移住したから、俺がずっと住んでいる」
そう真中がいい、先に進んでいくので峻もそれについて歩いた。
一階の大きなリビングを抜けてさらに奥に行くと、庭が見える廊下があり、そこを超えて行った先の部屋に入った。
「ここがこの家で一番安全でいい部屋だ。風呂とトイレもその横に付いている。外から開くドアがないから、侵入は防げる。あとこの屋敷の真ん中になるから、中庭以外は外と繋がってない」
そう言われているうちにも真中は風呂の壁にあるパネルを操作してお湯を溜め始め、あちこちの電気を付けていく。
「……あの……俺、ここに当面いないといけませんか?」
そう峻が尋ねると、真中は大きな部屋を横断して入り口にいる峻の側に来る。
手を引いてベッドがある窓側にまで連れて行き、ベッドに峻を押し倒した。
「お前の家に迎えに行ったら、玄関の鍵は開いてるし、部屋の中には変な手紙が山ほどあるし、部屋はあちこち引き回したかのようになっているし、タンスも開きっぱなしだ。何かあったと思う方が自然だと思うが?」
そう真中に真剣に言われて、峻はああなるほどと思う。
「あの、玄関は鍵を閉め忘れただけですし、手紙は居ない間に溜まっていた阿達からの連絡手段にされていただけで、部屋は自分で荷物を掻き集めたので、いろいろ倒れてしまって荒らしたようになっているだけだと思います」
峻がそう真実を告げても、まだ真中は納得はしていなかった。
「じゃあ、この写真はなんだ? こいつが何かしたんだろう?」
そう真中が言い、出した写真は、まさにあの時手紙を入れて去って行き、部屋をずっと睨んでいた女性の写真だった。
「え、なんでその写真を先輩が持って……」
「写真は撮ったらクラウドにアップロードして共有にしてある」
真中の答えに少し峻は驚く。
スマホを買い換えてきたのは真中なのでそうした設定にしていたなら、峻が気がつくわけもなかった。けれど怒りは沸いてこなかった。
だって、真中にどんな思惑があれ、あの不安な時に一番に助けに来てくれたのは事実だったからだ。
もし阿達がいたとして、阿達はこういう心配は一切してくれなかった。
夜遅くに外を歩いて帰る羽目になっても、阿達は泊まっていけとも言わないような人だった。だからこうやって心配だからと電話でちゃんと生存確認をしてくれ、迎えにまで来て、こうやって安全な場所へと連れて行ってくれるような人は峻には初めてだった。
出会いは最悪で、そして行為は犯罪だったのに、気付いたら真中が一番峻のために行動をしてくれている人になっていた。
「その人が何かしたわけじゃないです……ただ俺がいるうちに誰かが新しい手紙を入れていって、その時に外を見たらその人がこっちを見て立ち止まっていたので、それでカメラで拡大して写真に収めて置いただけで……」
「諦めた振りをした阿達が戻ってくると宣言している以上、お前をあのままあの部屋に置いておくことはできない。大家と話してきた。鍵も掛けて貰って、手紙も一部見せた。こんなに手紙を置いていく誰かがいることと、なるべく関わらないように見張っていて欲しいと頼んだ。声かけや相手を刺激するのはやめておけとも言った。あとお前の両親には連絡しないように頼んだ。俺が面倒を見るからこっちの連絡先は俺の番号を教えた。住所もマンションの方にしてあるからここは大家からは漏れない」
真中の用意周到な行動に峻は驚き、そして聞いた。
「どうして、そこまで?」
その峻の声の響きは本当に困惑している声だった。それを真中は聞いて峻にキスをして返した。
峻の顔中にキスをしてからまた唇にキスを落として言うのだ。
「俺がお前に惚れている。やっと手に入れたのに手放す訳がないだろう。お前が逃げたくて何処に逃げても追って行くから覚悟しておけ」
真剣にそう返されてしまい、峻は首を傾げた。
「先輩は、あの時だけの遊びじゃなかったんですか?」
そう峻に言われた真中は、少し眉を顰めてから峻の首筋に顔を埋めてしまった。
「……先輩?」
「お前がそう思っているんだろうなとは思ってたけど。俺はずっとお前に惚れていたし、機会も伺ってた。遊びの訳ないだろ。そのために大学中に噂を広めたんだ。お前は俺のモノで、阿達のモノじゃないって」
そう真中が言うので峻は目を見開いた。
そういう風に思われているとは少しも思ってなかった峻は、何か言わないといけないと思いながらも返す言葉はなかった。
峻は真中とは違い、真中とのセックスに堕ちただけだ。
真中のことはよく知らないし、恋なんてしてるわけでもない。
しかも阿達に失恋し、別れ、その阿達からまだ許して貰っていない。
そんな状況で真中のことを考えることなんてできなかったし、何より最初にレイプされたことはまだ憎々しいことでもあった。
出会い方が違っていたらと考えたが、真中は峻が苦手としている外面の言い優等生で、人気がある上にそれを分かっていて自分の自信にしている人だ。
そんな人が告白すらすっ飛ばして身体だけでも手に入れようとした結果、あんな事態になったのだと分かってしまい、峻は意外に駄目な真中の様子に少しだけホッとした。
自分の兄のように用意周到でありながら、どこか肝心なところが抜けているのが真中の良いところなのかもしれないと思えてきたからだ。
「真中先輩って、俺の兄に似ているんです」
「……兄?」
「とーってもやなくらい、頭が良くて人が良くて、皆に慕われていて、優等生で、それでいて俺だけを凄く馬鹿にしてくるんです。それで兄弟仲は最悪で、でも怒られるのは俺だけで、兄は善人のまま。それに辟易して大学で家を出たんです。それから一度、阿達を連れて帰ってみたら、なんか物凄く嫌みなことを言われて、男と付き合っているって言ったら家からたたき出されて、それ以来一度も帰ってません。大家さんはそれを知っているので、実家には連絡はしません何があっても」
そう峻が言うと、真中は先を促すように起き上がった。
その顔は真剣そのものだった。
「だから真中先輩のことは嫌いだったんです。予想は当たってました。あなたのこと嫌いだから、優しくしないでください……」
「俺は好きだから優しくする。勘違いして堕ちてこい。もうその身体は俺のモノだろう?」
そう言うと、真中は峻の服を脱がせて身体を弄り始めた。
そうなるとあの熱を思い出してしまい、峻は真中の手を振り払うことはできなかった。
あの熱さを知ってしまったら、戻ることもできない。
「あひっあ゛っあっいっいくっきちゃうっん゛っあっおま〇こでっ……なんかっきちゃうっ……あっあんっ、あ゛あああっ」
深く入り込んだ真中のペニスが峻の奥を何度も突き上げてきて、峻はその衝撃で揺さぶられる身体をベッドに預けた。
「おちんぽっいいっきもちいいっらめっそこらめっおくっああんっ……ああっ……おくっ……ああんっおくがあっきもちいいっああんっ」
「ここがいいんだろう? 知ってる、湊谷の中は全部知っている……」
一週間以上も抱き続け、さらに開発したのは真中だ。
峻の全てを真中はもう知っている。
「ひああっ……いいっきもちいいっ……いいっ……きもちいいっ……ああっあああっ……いいっんっ……いいっ」
真中が峻の中を知っていると言うように、真中が知らない場所がないくらいに真中は峻の身体を好き勝手にしていた。
良いところを突き上げ、触って欲しいところを触ってくれる。
それが心地よくてどうしようもなく、峻は真中の身体に堕ちてしまっていた。
しかし心はそう簡単に堕ちてはくれず、セックス中ならいくらでも真中の言う通りに好きだと言える。けれど、冷静になればそれはないことだと思え、心が付いてこない。
「んぁっいぃいいああっいいっ!! おちんぽぉ……んっ! いいっおちんぽ、ああっ……おいしいっおちんぽっ……きもちいいっああんっ」
パンパンと突き上げられるだけで何もかも忘れられる。
奥が満たされて、峻はそれだけで幸せだった。
「あっあっ、んはぁあっ!ぁっんひ! もっとぉっぁん! おちんぽ、いいのぉっあひぃああんっ! おま○こっ……いいっああんっ……いいっきもちっいいっ……ああんっああっ」
「湊谷っ一回出すぞっくっ」
「ああっああっぁはっ……はぁんっんっぁん! せんぱいのおちんぽぉっ……おちんぽ凄いぃいい……ああぁんっ、いっちゃう、おま○こでっ、せんぱいのおちんぽで、おま○こが、……イかされちゃうっ……! ひああっいくっ、おちんぽでおま○こぐりぐりされて、いくっ……あ゛っあ゛ひっうああんっ」
奥で真中に射精をされながら、峻も絶頂をする。
それが心地良いことを知ったのは真中に教えられてからだ。
中出しなんてするものではないのだが、中出しされないと感じることができないくらいに、峻は駄目な堕ち方をしていた。
「おちんぽいいっああんっ気持ちが良い……いい……いいっああんっあっあっいいっああんっあっ、あっ、ぁん! んふぅっぁおま○こっひ! ひぁっ、あーっあーっ!」
「もっとだ湊谷っもっと乱れろっ」
「おま○こらめっ……ああんっおくっああっらめっらめっああんっ……いいっああんっあぁああんっ……もっと、もっとっん、はぁんっあっあぁああっ! せんぱいのおちんぽ……っ凄いい、いいのっ!」
「そうだ、これ以外を求めるなっ、俺を愛さなくていい……このペニスだけでもいい……これに惚れてしまえっ」
「あ゛ああっらめぇっイクっ……ん゛あっおっあっあひっ、い゛っ……らめっらめっ、いっちゃう、せんぱいのおち○ぽでっおま○こされていっちゃうっ…いっちゃういっちゃうっあっあっああっああああぁんっ」
「まだだっ、もっと狂え湊谷……もっと中出ししてやるから感じておかしくなれ」
真中は峻を身体を使ってでも離さないように、離れないようにどんどん強く乱暴に峻を抱く。その抱き方に慣れたらきっと優しい抱き方には満足はできないだろう。
そして真中の言うとおり、峻は真中のペニスに惚れていた。
「ん゛あっああぁんっ、ああっあ゙っああ゛っあっんぁっあっあぁぁぁあ゛ひっあへぇっああ゛っあっあ゛っあんっあんっあぁんっ」
真中のペニスに激しく突き上げられるだけで、峻は淫らになれたし、嬌声も上げられた。
「あ゛っあっああっ、あんっあんっああぁっあああっ……ん゛ぁっあ゛っ、ぃっ、あっああぁぁぁあ……やああああぁ! いっちゃうっ、またいっちゃうのぉっひぃあっ、あんっ、ぁんっ、あぁっあああああっ!!」
ビクビクと身体を震わせて絶頂をするも、一瞬の間を置いただけで真中は挿入をまた開始する。射精をしながら達しているはずなのに、まるでドライで達しているように絶頂感が長くなり、峻はその快楽の中でまた快楽のさらに深いところまで突き落とされる。
「あぁあっ、ああぁっおちんぽ、あっあ゛っい゛ってぅのに、ずんずんきてるぅっ……あっあっああああっ……あひっんっああああっあ゛ひっあ゛っあんっあんっふぁあっ、おま〇こ、もう、いぃっ、ひぁっあっいいっ、よすぎてっ、あああ゛ひぃっああっああんっ……んっはあぁんっ」
「湊谷、いいぞっもっと淫らになれ……もっともっと俺に堕ちてこい」
「あ゛ひっんっあぁっあぁんっ、しゅごいっ、すき、おち〇ぽすきっ、もう、こんなの知ったらっ、おち〇ぽずっとハメハメしてて、あ゛っあひっんっあ゛ひっあへぇっああ゛っあっあ゛っあんっあっあぁんっあ゛っあぁっあっ、あんっあんっああああっん゛ぁっあ゛あっあああっ」
突き上げながらも真中は峻の乳首を引っ張り爪で引っ掻いてはまた摘まんで捏ね上げてくる。
「ふあぁっ……きもちぃ……おま〇このなかっ、ああぁんっああぁあ……あぁっ……あっあっあああっあっああああっ…いい、気持ちぃ……っ、んっ乳首っ…あぁあっ……ひっ――ああんっあ―――っ!! いい……いい、イクっイクイクイクぅ……い、っくぁあああっ、あっ、あぁっ……ぁあ……っあ、あっ……あーあっあっあっぁあああああああ――っ!!」
漏らすようになった時には風呂場に連れ込まれてそこで盛大に潮を吹いて峻は達するも、その突き上げの中で真中が中出しをして精液を奥に叩き付けてくるのでまた峻は達してしまった。
「あーっぁんっあんあんあんっ! あっ、あーっあっあっ! 出てるっ……イってるからぁ……っ!」
潮を吹いてからの放尿になり、長くペニスから透明な液体が漏れ続けている。
真中のペニスは峻のアナルから抜けると、そこから真中の出した精液が溢れ出て、洗い場を汚していく。
みっともなく、淫らに絶頂をする峻に真中は興奮してしまい、また一日中のセックスが始まった。
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