Honey
-裏-3
この気持ちは何なのか
ここ最近、新藤は大知(だいち)に振り回されている。
バーに行くと大知がすぐに寄ってきて新藤を連れ出す。あの時はどうかしていて一回だけの関係だったはずだ。そう新藤が口にするも、一回も二回も同じだといい大知は新藤にキスをする。それが濃厚なキスだったりするのでいつもそこで思考が止まる。
「ふ……あ……んん」
強く吸って舌が絡まる。痛みさえ感じるキスはむず痒さがわずかに消されていく。流されるままキスをしてしまっていつも新藤は戸惑う。
濃厚なキスをされると新藤はいつも身体に力が入らなくなって、大知に支えられるようにホテルに連れ込まれる。わざとそうしているのだろうが、これに逆らえないのは、あの快楽を知ってしまったからだ。
逞しい身体が自分を征服して、そして翻弄してくる。それだけで身体が熱くなってくる。
大知は何度も何度もキスをして、体中を舐め回し、足の指や孔だって平気で舐めてくる。
「あ……やぁ……それや……っ」
「なに言ってんの、感じまくってるくせに」
孔を丹念に舐められて指を突っ込まれて掻き回されると、どうしても新藤自身も立ち上がってしまう。
大知は新藤自身を口に咥えてなめ回しながら孔も同時にいじってくる。そのテクニックがひどく心地よくて新藤は甘い言葉しか口からは出なくなってしまう。
「あ……ん……だめぇ……そんな……」
同時に攻められると頭の中が混乱して何も考えられなくなる。そうして大知はバイブを孔に入れてそれを動かすとずっと新藤自身を舐め続けるのだ。はっきり言って快楽はもらえるが拷問に近いものがある。
「あっ……だめ……だめ……あ、……いい……いいよ……」
次第に駄目からいいに変わってしまうのもいつものことになってしまった。こんなプレイはしたことはなく、最初は抵抗もしたが、良さを知ってしまった身体がそれを求めるようになってしまう。
「……あ……ああ……ん……は……――ああぁ!!」
びくびくと身体を震わせて新藤が達すると、それを口で受けた大知が綺麗に舐め取っていく。まるで飴でも舐めているように何度も何度も舐めてくる。
「まだいけるよね」
にやっと大知が笑っていう。これで達ったのは三度目だ。ただ孔にバイブを入れられて新藤自身を舐められただけでだ。
また大知が新藤自身を舐めようとするので新藤は慌てて口走ってしまう。
「もう……それいや……おねがい……」
この後にくる快楽という苦痛が待っている、それが分かっていながらも現状から逃げることしか出来ない。
大知はそれを聞くとバイブを一気に抜いて、今度は大地自身を入れてくる。バイブになれたそこはすんなり大知を受け入れる。だがバイブとは違って温かさやうねりがあるから反応して大地自身をぎゅっと締め付けるのだ。
「……ん、まだ全然キツイね」
大知は二三回腰を動かすと満足したように笑う。そして指を二本新藤の口の中に入れて舌をさすってくる。
「う……ん……うう……」
口内で動く指が艶めかしい。新藤は指に舌を絡ませて舐める。そうしないと大知は絶対に動いてはくれない。
舌にもなにか快感があるのか分からないが、そうされるとどうしても逆らえないものが出てくる。
「ん……んん」
丹念に舐めると新藤の中にいる大地自身が大きくなって圧迫してくる。
「誘うのうまいよね、ほんと」
大知はそう言うと、締め付けられたそこが熱く感じるらしい。満足したように指を抜くと今度は新藤の足を開いて太ももを抱えると激しい動きをしてくる。大きなモノが急激に出入りすると快楽が一気にきて、もう何も考えられなくなる。
「あ……あ……いい……気持ち……いいっ」
「これ好きだもんな」
「好き……すき……」
「飽きるまでしてやるよ……」
「あ……ああっ……そんなの……はっ」
「一回出すな」
大知はそう言うと中に熱いモノを注ぎ込む。
「――ああっ!!」
その衝撃で四回目も新藤は達してしまう。ぐったりした身体はひっくり返され、腰を上げられて繋がったまままた大知が言う。
「精液入れられただけでも、感じて達っちゃうんだもんな」
そう言って背中中にキスを降らせる。そして手は回ってきて乳首をこね始める。
「……あ……ん……ん」
「乳首と前と後ろ、同時にやったらどうなるかな」
大知がそう呟いてスッと前に手を伸ばして掴んでくる。こねこねと乳首を触られ、前は扱かれ、後ろは貫かれて押し込まれる。三つ同時に攻められて新藤は悲鳴のような声をあげた。
「ひっ……やっ……いやあぁ……っ」
感じすぎて何がなんだか分からない。前はすぐに達してしまうのだが、それでも大知は触るのを辞めない。
萎えたものをまた扱いて勃たせるのだ。これはもう拷問でしかない。けれど新藤は感じてしまってどうしようもなかった。
「はっ……は……ん……も……いや……だめ……んん」
「気持ちいいんだよな? だって喜んでるじゃないか体中」
乳首からスッと腰にかけてのラインをなぞられて新藤はびくびくと身体を震わせた。どこもかもが快楽のスイッチになったみたいで触られただけで達ってしまいそうになる。
「あ……ん……ふ……ぁ……」
急に身体の向きが変えられたと思ったら、今度は新藤が大知の上に乗る形になっていた。
「ほら腰もっとふってごらん」
急に大知が腰の動きを止めてきた。前はいじられたままだし、体中を片方の手がはい回っている。そんな状況ではまた達きたくなってしまうのは仕方ないことだった。
新藤は迷いもせずに自ら腰を振った。
「は……ん……ああ……深い……すご……い」
なんとか腰を振るも深いだけで自分では上手く出来ない。しばらく大知は新藤の前をいじるだけで眺めていたようだが、急に腰を掴むとぐんっと腰を落とさせた。
「いやああ……っ!!」
急激に深いところまで貫かれて、新藤はまた達してしまった。
「もうあんまり出ないな」
精液が出尽くしたかのように、薄い色のものが少量だけ大知の腹の上に落ちただけだった。達してしまった新藤は大知の上に倒れてくる。
だがここでも大知は容赦しなかった。腰を掴んでまた動き出すのだ。
「や……もう……だめ……ああっ」
「新藤さん、エロイからね。これくらいやらないと俺も満足しないし」
「だめ……ああ……だめだめ……あああぁぁっ」
自分の身体と大知の身体に挟まれたものが擦られて、さらに大知が中で達ってしまったから熱いものを感じてまた新藤は達してしまう。けれど今度は射精したものがなかなか止まってくれない。
「や……と……とまらな……い」
「すげえ、いきっぱなしってやつだ」
大知は感動したようにそういうのだが、なかなか止まらない射精に新藤は心配になって焦っていた。こんなのは初めてでどうしていいのか分からない。
「大知……大知」
恐くなって大知に助けを求めると、大知はその手を取ってくれた。
「大丈夫、すぐ止まるよ」
そう言って大知は新藤を抱き寄せて背中を撫でて宥める。大知がいった通りにそれはすぐに止まってくれて新藤は安心してほっと息をついた。
「新藤さん、時々すっげー可愛い」
耳元でそう言われてちゅっと耳にキスをされる。新藤はもうそれどころではなかった。身体は何時間もいじられて射精は何度もいかされて身体が疲れ果ててしまっていた。だんだんと眠くなって寝てしまうのはいつものことで意識が朦朧としてくると目の前に大知の優しい顔があるのだ。
「おやすみ、新藤さん」
この言葉を合図に新藤はすっと意識を手放していた。
こんなことがもう数度あったと思う。朝起きるとちゃんと綺麗に身体は拭かれていて、布団も綺麗にされていることが多い。
新藤は目が覚めるといつも後悔をする。なんでこうなってしまうのか。
何度も断っていたのに大知には妙に逆らえない部分がある。
こういう行為も自分がいかに淫乱なのかを思い知らされる。最中に自分が何を口走っていたのか後で考えたらしっかり覚えていたりするのだ。そうなると羞恥しかない。自分は好きでもない相手でもこうなることが出来る人間なのだと思うと一層気分が落ちてくる。
大知はいつも朝はいない。大学生と言っていたので家に帰ってから学校へ行くらしく、朝早くにチェックアウトしていく。料金はいつも大知持ちになってしまっていた。新藤が割り勘だと渡しても、受け取った後、新藤が寝ている間に勝手に財布に戻されている。全てが大知のペースで新藤のペースは一切作れないでいた。
なんだって自分は年下にこうも振り回されているのかが分からないし、大知が何を考えているのかも分からない。淫乱な自分をおもしろがってやっているだけなのだろうか。そう思うと余計に空しくなってくる。
胸が締め付けられるように痛くなる。自分は大知の本命にもなれないそんな低俗な人間なのだなと。
身体がギシギシするが早々にチェックアウトして家に帰る。一人暮らしだからこういうのも誰にも迷惑をかけているわけではないし、バーに行く時はいつも仕事の休み前と決まっているのでこうなっても会社は大丈夫だ。
部屋に入ってふうっと息を吐くと、何故かまだそこには色香があるような気がして新藤は焦る。
その色香を押さえるためにもう一度風呂に入って大知の匂いを落として、早々に布団に潜り込んだ。
今日はもうなにもする気が起きなかった。
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