The Garden of Eden-03

 夜のホテル街に来たことがないわけではない。
 純情ではないし、セックスが怖いわけでもない。
 雲峰雪月にとって、それらは既に日常だった。
 けれど、それはあくまでセックスという性処理であり、誰かと心を繋ぐことはなかった。心はいつでも置いてきた。
 初めての相手が問題の相手であり、その息子とまでそういう展開になってしまうとは、未だに信じられない。
 雪月は何かの間違いであって欲しいと思いながら、指定されたように受付で部屋番号を告げて鍵を預かった。
 連れである清瀧は既に中に入っていると言われ、その鍵を使って入ることで自分の意志で合意したというのがホテル側が用意した条件だったらしい。
 その受付は、清瀧といつも一緒にいる有信健吾という人だったので、雪月は溜め息を漏らしてしまった。
 最初から彼らはそういうつもりで、雪月に接触できないか伺っていたらしい。
 だがどうして今更、清瀧が会いたがっているのかが分からない。
 部屋に到着してから少しだけ鍵を鍵穴に入れる気がせずにぼーっとしたが、誰かがやってくる気配がしたので急いで鍵を開けた。
 こんなところで誰かに見られるのは面倒だった。
 部屋に入ると、電気が付いている。廊下を入って扉を開けると大きなベッドが置いてある部屋になる。
 基本的にセックスをする部屋なので、ベッドと風呂、テレビやオーディオ機器、そして備付けの大人のおもちゃの機械、そして鏡くらいしかない。
 飲物は冷蔵庫があるが、値段が決まっていて飲んだ分だけ後請求になる。
 見慣れた光景なので、恥ずかしさはなかったが、近くの椅子に座ってテレビを見ている清瀧に気付いた。
「……何か用だった?」
 雪月は入ってすぐに部屋のドアを閉めて、入り口に立ったままでそう尋ねた。
 はっきりと清瀧から話を伺わないことには安心して座ることもできない。
 雪月は清瀧には恨みを買っている事実を今更ながらに思い出した。清瀧の仲間がこのホテルの受付にいたということは彼らがグルで何かしてくる可能性もある。
 危険な行動をしている自覚がなかったけれど、ここに来て命の危険もあることに雪月は気付いてしまったのだ。
「飲物は?」
 振り返った清瀧がそう聞いてくるけれど、それに雪月は首を振った。
 イヤな流れだと背中を汗が流れた。
「まあ、飲めよ。甘い炭酸飲料が好きだったよな?」
 そう言われて雪月がゾッとしたのは仕方ないことだった。
「何の真似?」
「何って、そうすればお前は誰とでも寝るんだろう?」
 清瀧がそう言うので、雪月は舌打ちをしてしまった。
「悪いけど、それ嘘の噂だから」
 大学で出回っているデマを使って、清瀧が雪月を揺さぶってくるが、何がしたいのかはっきり言って分からない。
「へえ、でも甘い炭酸は好きだったよな? 親父がいつも用意していた」
「何が言いたい……っ」
 噂は本当に嘘であるが、清瀧が違う意味でそう言ってくるのは予想ができた。
 清流に最初に犯された時、雪月はその炭酸にクスリを仕込まれて前後不覚にされた。
 脅されて、呼び出されるといつもその炭酸を飲まされた。
 それが合図だったからだ。
 性犯罪者の裁判記録は公開されていない。未成年が被害者であることや社会的に問題があるという理由で非公開だった。だから清瀧がそれを知っているわけもなかった。
 だから清瀧は父親である清流に会って、それを聞いたことになる。
「お前が僕を許してないのは分かってる。でもだからって許さないということ以外でお前が僕に何かできる権利もない」
 雪月は自分が甘かったことを知る。
 清瀧は雪月を恨んでいる。
 それも相当深く根強く、その恨みの視線は清瀧がこの街に戻ってきた理由を察せられるほどだった。
 雪月は急いで部屋をでようとしたが、部屋のドアが開かなかった。
「……何で!」
 慌ててそう言ってしまったが、ラブホテルは料金を払ってからでないとドアは開かない仕組みだ。
 完全に填められたと気付いた雪月がスマホで上坂に助けを求めようとした。しかしそれを遮るように素早く清瀧が近寄ってきてスマホを取り上げると、それを風呂に持って行き、そのままスマホを風呂に沈めてしまった。
「……何して……」
「助け、呼ばれちゃ困るんで、連絡手段は壊させて貰う」
 ここのホテルがグルなら、もちろん受付に連絡をしても駄目だった。
 逃げ場所もなく、ホテルの一室に閉じ込められて、雪月はゾッとした。
 そこまでしても、清瀧が復讐を考えて、一番効果的な方法は己の存在しかないことに気付いたのだろう。
「……ひっ」
 あまりにも清流の姿に似て成長した清瀧だったけれど、それでも最初に見た時は、そこまで似ているとは雪月は思っていなかった。雰囲気が圧倒的に違っていたからだと思う。
 けれど今、雪月を見つめてくる視線や仕草は、正に清流のそれとよく似ていて恐ろしいくらいにうり二つとも言えた。
 雪月はその場に座り込んでしまい、恐怖で動けなくなった。
 甘かったのだと雪月は思った。
 自分が思っている以上に、自分の行いが清瀧たちを狂わせたのだと実感した。
「ずっとこの時を待っていた」
 清瀧がそう言い、雪月に近付いてきて、雪月をその場で立たせてから言った。
「飲むか飲まないかは選んでいい」
 そう言われて目の前で炭酸飲料にクスリを入れられた。
 本気でそうするのだと分かってしまい、雪月はその飲物を飲まなかった。
「……それでお前の気が済むのか……?」
 そう尋ねると清瀧は言った。
「少なくとも今は、そうだと答える」
 清瀧が何を考えているか分からないが、清瀧が清流のやり方を真似ているなら、せめて雪月がする方法がある。
「……お前が僕を抱いたって何も代わりはしない、空しいだけだよ」
 そう雪月が言うのだが、それを黙らせるように清瀧は雪月にキスをした。
 それを受けながら、雪月は目を閉じた。
 大丈夫、これで同じにはならない。そう思った。


「ああぁんっ……っ!!ああああああぁ!!!」
 清瀧は雪月を犯した。
 それは強く乱暴に、雪月の身体を開いて押し挿入り、中を抉るようにして腰を打ち続ける。
「あっ……ぁあーーっ!」
 こんなに乱暴に抱かれた記憶は一切なく、抱かれることに抵抗がなくなっても、快楽にはなかなか素直になれなかった。
「あっ、あっああぁ……!」
 清瀧を受け入れるのに時間が少しだけかかったのは、清瀧のペニスが大きすぎて、なかなか入らなかったことだろうか。
 散々慣らして大きく広げて貰い、清瀧の手によって見知らぬ世界を見ている気が雪月にはした。
 無理矢理脅して閉じ込めた上で抱かれているのに、清瀧は慎重で丁寧に身体を傷付けないように広げてくれた。
 それだけで既に清流とは違うのだと雪月は思った。
 それに安心して身体を開いて、まるで初めて抱かれるかのように恥ずかしがりながらのセックスになった。
 それでも清瀧は雪月の中に挿入ると、性急に腰を動かし始め、それは力強く性を押しつけてくる。
「い、っく……もう、いくぅ……っ……ああああっ!!」
 清瀧の手によって絶頂をさせられた雪月であるが、それで終わるわけもない。清瀧はまだ絶頂もしていないし、腰使いもまだまだ強い。もし似ているところがあるとするならば、性欲が清流のように強いことだろう。
「ああ……っ、……あっ……ぁ……」
 清瀧も何処かできっと初体験をしただろうし、男も何処かで抱いてきただろう。
 だからセックスがどういうものなのか理解しているはずだ。そこから憎しみを持って復讐をしても、何にも生まれないことも。
「んっ……ふ、う……っあっ、ぁん……!ああっ……」
「くそっ中が……すごい……ふっ」
「ああ……もう……ああっらめっっ、んん!」
「こんなの一回で済むわけないっ……くそっこんなつもりじゃ……くそっ」
「ああっ!あ、っ……んあぁ……」
「もっと、欲しがれ……雪月っ」
 清瀧はどんどん激しく雪月を突き上げる。
 抱かれながらも雪月は清瀧の好きなようにさせた。けれど、気持ちが良いところはちゃんとそう反応して、違うところは違うと導いた。
 これは明らかに清流の時とは違った雪月の反応であるが、抱いたことはない清瀧がそれを知っているわけもなかった。
「あー……っ、ぁあ……あああっ……あっ……んあぁ……!」
 気持ちが良くて雪月は喘ぎ声をあげ、清瀧を煽り、更に足を絡めて必死に清瀧を求めた。
「ああっ……もっと……、もっとぉ……! はあぁっ!あっ、ああー……」
「この淫乱が……どうせ誰にでも同じことを言っているんだろう!」
 そう言う清瀧の言葉を雪月は利用することにした。
 そうすれば彼が雪月を抱いて、抱き尽くしてくれると思ったからだ。
「ああっ……おくっ欲し……っ、おちんぽっ奥に欲しい……! もっとおま○こに入れてぇ……っ」
「……っくそっ」
「あああっ!あ……!あああぁ――!! あ!あ……!ああー……っ!」
 雪月が強請ると清瀧はより一層強く雪月を攻め立てた。
「あああああっ!!!」
 パンパンと大きく響く音と、お互いの液体が混ざり合って鳴る音。そして挿入される音と混ざり合って、喘ぎ合う声と、正にセックスをする部屋には似合っていた。
「ふぁ……あ……、あ―――!!」
「雪月……くっはっ……なんてヤツだっ」
「あああんっ!ああっ!」
「こんなのじゃ、終われない……終われやしない……っ 雪月っ」
 そう清瀧が何度も言う。
 彼が何を目的に雪月を抱こうと考えたのかは予想はできた。
 復讐によって恐怖に打ち震えて泣いて謝る雪月が見たかったのだろう。そのために清流の話を持ちかけて、雪月を恐怖にたたき落としたのだ。
 けれど、それは一瞬だけの欺しだ。
「はああんっあああっ! ああぁっ……!!」
 セックスは始めた同士の事情があっても、快楽に身を投じた時にはもう他の事情は関係なくなる。そんなことは雪月も知っていたし、快楽に堕ちたせいで酷い目にもあった。
 けれど清瀧は知らなかったのだろう。
 こうなってしまえば、経験の多い雪月の方がまだ心に余裕があるということを知らなかっただろう。
「はあぁあんっ! いい……っ、ああ……!いい――……っ……!」
 乱れる雪月に清瀧の腰は動き、しっかりと勃起したペニスを奥まで突き入れては抜き去っていく。それがとても気持ちが良いのか、必死に快楽追っていて、雪月はその顔を見れただけでも良かったと思った。
「ふぁあ……!あ、おま○こ!……おちんぽで突いて……もっと突いて……っ」
「このっ……くそがっ」
「そこっ……、そこぉ……!もっと奥までおちんぽしてっ! もっとおちんぽでおま○こ突いてええぇ!!」
「……っ!」
 雪月はこれが録画されている可能性も感じていて、必死に清瀧を煽った。
 これを脅しには使えないくらいに、清瀧が後で見て恥ずかしさで持ち出せないくらいに乱れては清瀧を煽った。
「あぁあ!もっと……もっともっと激しくして! おちんぽでおま○このいいところ突いてぇ……っ!」
「……この、淫乱がっこれでいいんだろう雪月!」
 奥まで突き入れてから腰を左右に動かし、中で精液を吐き出す。
「ああんっ! ああっ!いい……っ、おちんぽっせいえきっ気持ち、いい……っ!」
 脳天を突き抜けるほどに精液で感じて、雪月も目的を忘れるほど清瀧と抱き合った。
 ここまで相性がいい相手はそうそういるものではなく、正直今までの誰よりも清瀧との相性がよく、セックスが気持ちいいだけの時間だった。
「はぁあん……っ!それ! ああんっそれぇ……! きもちいいっああんっおちんぽっああんっいいっいいっ」
「ここかっくっ……中がっ……くっ雪月……雪月っ」
「ああっんっいぃ……っ、おま○こいいのっ! 清瀧のおちんぽっいいっ! あうっ……!あああ!」
 ここで初めて雪月は清瀧の名前を呼んだ。
「……このっ!」
「あ゛っんあっはっあんっあぁ……あっあっあんっあっああっあっ……いいっあああんっ」
 奥までペニスを突き入れて、更にギリギリまで抜きそれからまた奥まで一気に突き上げる。そんな方法で中を抉られれば、雪月も絶頂まで導かれる。
「いいっああっ!イキたい……っ、も……イキたいぃ!イカせて、ああぁんっ! いい……っ!!ああああああぁ!!!」
 清瀧は雪月の身体に溺れたように犯し続け、お互いに身体を求め合った。
「あっあぁあーーっ! あっ、あっああぁ……!」
「雪月、雪月っくっあっ」
「い、っく……もう、いくぅ……っ……ああああっ!!」
 二人は一緒に絶頂をした。
 精液を吐き出して雪月が絶頂をしてしまうと、清瀧もまた雪月の中に精液を吐き出した。
 それを中に擦りつけるように、清瀧はペニスを動かし、それがまだ絶頂感を味わっている雪月にはたまらなく気持ちが良かった。
「ああ……っ、……あっ……ぁ……」
 身体を痙攣させて感じていると、清瀧がそんな雪月の身体を眺めている。
 その視線は酷く熱があって、とても色っぽかった。
 あの青臭いスポーツ少年だった清瀧が、よくもここまで男らしく育ったものだと雪月は胸がときめいた。
 雪月は自分があまり育たなかったのもあり、羨ましくもあった。
 そんな清瀧の顔はもちろん清流にはそっくりなほど似ていたが、それでも雪月には違う物に見えていた。
 同じようであってそれで違う物。ずっと雪月が見てきた清瀧はそんな存在だった。
 圧倒的な力で雪月を押し倒し犯した男の息子であることは重々承知だ。どんな状態であってもその息子とこんな関係になっていいわけもない。
 世間からすれば、それこそ親子で同じ青年を犯しているなんて、外聞が悪いことをしても清瀧には何のメリットもないはずだ。
 だから、本心の理由は雪月にも分からない。
 清瀧はこうするしかないと思うに至った理由は、きっと理解できないだろう。


「んっ……ふ、う……っ」
 身体が熱を冷ましていくのを、清瀧は起こすようにして雪月の中へとまた入ってくる。
「あっ、ぁん……!ああっ……」
 身体が覚えた熱はきっと一生忘れないものになってしまった。
 けれど、同じように清瀧が求めるならばもっと貰っても良いだろうと雪月は思った。
「ああ……もっと……っあぁあっ、も、入れて……っ、おま○こに入れてぇ……!」
 強請って清瀧を煽ってやると、清瀧は腰を動かし始める。
「あ……っ、はぁ、うっ……んぅ!んんー……っ!」
 挿れたままキスをして、深いキスを繰り返した。
 憎しみにキスは要らないはずだけれど、お互いに触れていたかったのかキスはずっと繰り返した。
「んふっ……んっんんっんっ……んふっ……んんんんっ!」
 キスをしたままでイかされ、雪月は誰とも経験をしていないセックスを清瀧とした。
「ああぁっ! ああっ!あ、っ……んあぁ……」
 何度も中出しをされ、それでも清瀧の気が収まらないのか、何時間もセックスに興じた。
「あー……っ、ぁあ……あああっ……あっ……んあぁ……! もっとぉ……はあぁっ!あっ、ああー……ああっ!」
「雪月……っ雪月っ…くっ」
「ああっ……もっとおま○こにおちんぽっ欲し……っ、奥におちんぽっ欲しい……! 清瀧のおちんぽっ僕のおま○こに入れてぇ……擦ってっ おま○こに精液いっぱいちょうらいっ……あんっあああっ!」
「ぐっ……あっ」
「あ……!きたっせいえきっああ! あぁ――あ!あ……!ああー……っ!」
 清瀧が雪月の中で精液を吐き出し、たっぷりと出してからペニスを抜く。
 そうするとぽっかりと空いた雪月のアナルからは精液が溢れてでて、ベッドを濡らしていく。それを見て清瀧はまたペニスを勃起させて、雪月を犯した。
 清瀧はそれを何度も繰り返して、雪月を犯し、朝までずっと雪月の身体を堪能するように何度も何度も抱いた。