Together-10

 それから二年。
 緒都(おと)は大検を取り、大学にも合格をした。
 将来は、父親のような秘書になって、永哩(えいり)を支えることだった。

 永哩は、当時解体した高須賀(たかすが)グループが残していた不動産関係の社長に就任した。
 高須賀の息子は使い物にならず、役員会で別の会社を追い出されて戻ってきたのだが、そこを父親である高須賀が、今度は息子をも差し置いて、昔離婚したときに捨てた四十宮(よそみや)の子を迎え入れたことによって、新しく生まれ変わり、高須賀は会長職になり、実質引退したようになっていた。

 そうして二年も経つと周りはゆっくりと時が過ぎていくようになった。
 緒都は永哩のマンションの隣を借りて暮らしていたが、実質はほとんど永哩の部屋に入り浸っていたので一人暮らしではなかった。

「永哩さーん」
 今日もまた緒都がやってくる。朝になると緒都はやってきて、ご飯を作り、一緒に食べて出かけるのが日課になっていた。

 塾のようなフリースクールを卒業した緒都は今は春休み同然で暇なのだ。
 永哩はまだ眠っていたようなので昨夜は遅かったらしい。ということは今日は日曜なので休みだろうか? そう緒都は思って寝室に入る。
 案の定、永哩は寝ていた。

「永哩さん? うわ……」 
 起こそうと思ったのに抱きしめられて、びっくりした。そのまま布団の上を転がって、永哩に布団の中に引きずり込まれる。

「えい……りさん、もう朝だよ……」
 そう言うと、永哩は「ん?」と顔を上げたが、時計を見てのそりと起き上がる。

「そうだ、言おうと思っていた」
 いきなりそういわれて、緒都はきょとんとする。

「何?」

「これから寝室入るの禁止な」 
「え? なんで?」
 驚いて顔を上げると、永哩が困った顔をしている。

「いや、時期を待って、昨日言うはずだったんだが、遅くなりすぎて言えなかった。緒都、すごく俺が欲情してるの分かるか?」

「……は?」
 そう言われてみると、いわゆる朝立ちというやつだ。

「……永哩さん?」
「だからな、お前が来るとこうなるから困るっていう話だ。だからその気がないなら、入るなよ」
 永哩はそういってまた寝ようとする。
 するとその寝た横に緒都が寝転がる。

「……緒都……」
 せっかく忠告したのに、緒都は分かってないのかという呆れた声だったが、緒都は元気に言うのだ。

「ん? それって襲ってくれるってことでしょ? 大歓迎」
 緒都がにっこりとして言うと、永哩が目を開いた。信じられない様な顔をしている。

「これでも俺、二年前から永哩さんのこと大好きなんだ。大学に合格したら好きだって言おうと思ってたのに、永哩さん、そんな変なこと言うんだもん、びっくりしちゃった」
 緒都はそう言って笑う。可笑しくてしょうがないというように。

「……緒都?」
「なあに?」

「……俺のこと好きだったのか?」
「うん、そうだよ」
 緒都はにっこりして言う。

「……ただ親しいから懐いていたわけじゃないのか?」
 永哩はそう言って確認する。
 今までは保護者代わりとしてきたから懐かれていたのではないかと思っていた。でも緒都はそうじゃないという。

「そんなわけないじゃん、永哩さんに嫌われないようにっていろいろ苦労していたのになあ。全然気づいてないんだもん」
 そう言って緒都は笑う。

「緒都……」
 そう呼ばれてすっと体制を入れ替えられた。
 上になった永哩の顔がゆっくりと近づいてくる。

 あ、キスされるのかな?と思っていると、本当にキスしてくれた。
 ついばむようにして、そして唇を舐め、くすっと笑った緒都の口が開くと、深いキスになった。舌を入れ、口内をまさぐり、緒都の味を堪能する。

「……ん、あ」
「……緒都……緒都」
 キスが終わって、永哩がどんどんと服を脱がしながら肩や鎖骨にキスをしていく。

「あ……はっ……ん……永哩……さん、がっつき……すぎ……」
「んなこと言っても……な。飢えてんだよ……」

「なんで……は」

「目の前に、美味しいと分かってるものがあるのに、二年も我慢したんだ。今すぐもらってもいいだろう……」

「朝一から……なに言って、ああ!!」
 いきなり緒都は中心を握られてびくっと震えた。

「……勃ってるじゃないか」
「そんなに、ああ……ああっ」
 ズボンを脱がせて下着も一気に脱がすと、そこにしゃぶりつくように緒都のものをくわえこんだ。

 いきなり強く吸われてびっくりして腰が跳ね上がる。永哩はそれを利用して片足を抱えるようにして押さえる。
 大きく開かされたものだから緒都は恥ずかしくて、閉じようとするが抱えられているから足を閉じれない。
 口淫しながら触れるところは全部触る。

「だ、だめ!!ああぁぁぁ!!」 
 緒都を一回いかせてから、やっと永哩の急な行動が止まる。

「…………えい……りさん……もう……ひどい……」
「仕方ないさ。美味しいからな、緒都は」
 永哩はそういいながら緒都の乳首を舐めて転がす。

「やん……あ……はっ……んん」
「やっぱ美味しいな」
 そういいながら、永哩は執拗に今度は乳首を攻める。

「……だめえ……そこばっかり……あん……ふ……ああ……んん」
「じゃこっちもな」
 そういってぬらした指をゆっくりと孔に忍ばせる。

「う、うそ……あっ」
 くっと曲げられた指が良いところにいきなりあたって、ぴくりと身体が震える。

「ああ、良い感じだな」

「朝の……永哩さん……なんかエッチ……」
「そりゃエッチなことしようとしてますからね」

「でも……好き……ああっ」
 そう言った緒都に永哩はいいところをこすりつけることで答える。
「……ああ……だめああん……」
「だめ? いいといいな」

「あ……うん、……ああ、…………いい……えいり……さん……いいよぉ……」
 指を二本に増やして擦ると、更によくなったのか、そう緒都が言う。

「いく……いっちゃうぉ……ああ……ああぁぁ!!」
 二回目いかされて、緒都は息も絶え絶えになるが、その先はまだあることを知っている。

「永哩さん……ちょっと待って……ん……うん……」
 息がなかなか整わないので、そう言うと永哩は孔をいじりながら乳首をまたくわえている。甘いキャンディでも食べているかのようなそんな感じに舐められて、もうすでに緒都の身体はぐずぐずに甘くなってしまっている。

「緒都の身体はどこも綺麗だな……美味しいし」
「もう、永哩さんとばしすぎ」
 緒都は一応は覚悟していたが、ここまでがっつかれるとなかなか自分の体が追いつかない。

「よし息が整ってきたな……次な」
「えっ……ちょ……ああ!」
 腰をぐっと抱えられて、うつぶせにされると、孔に永哩の熱いものが入ってくる。

「あ――――――っ」
 熱いものが圧迫したものが入ってくる。それをなんとか息を吐いて逃して受け入れる。
 初めてだからどうやっていいのか分からないが、とにかく力を抜くには息を吐くのがいいと思って緒都はそうする。

「……んんん」
「いいぞ、緒都、入った」
 深く入った永哩自身が中で熱く脈を打っている。

「……ああ……え……いり……さん……あつい……よ……」
「もっと……熱くなるよ……」

「え、ああぁぁ――――――!」
 永哩は中がよくなってくると動き始める。

「あ……ああ……んぁ……は……あぁ……んんん……」
 背後から奥から穿たれ、内壁が擦られる。
 永哩が入ってきたところが熱くて火傷してしまいそうだ。

「ふ……かい……あ……も……だめ……」
 そう緒都がとぎれとぎれに言うと、ぐるりと視界が変わる。
 身体を繋いだまま、体制を変えられて緒都は驚くと当時ににこと笑った。      
 やっと永哩のいやらしい顔が見れた。
 緒都を味わって、もっといやらしい顔になって、満足している顔がそこにある。

「美味しい……?」
 緒都がそう言うと、永哩はにこりと笑って答えた。

「美味しいよ、とても」
 そう言って、更に深く緒都を貫いた。

「もだめ……んああぁぁ――――――!」
「んん……」
 一気に達した二人は折り重なって、深く息を吐きながらもなんだが可笑しくて笑ってしまった。
「……緒都、もう一回な」
「もう……やだあ……」
 そうは言っても永哩は止まってくれなかった。
  
 
「おめでとうさん、お二人さん」
 第三ラウンドが終わったところで、完全に緒都が撃沈したところに八百(やお)がやってきた。この人はいつでも無断で部屋に上がりこむ人だ。

「お前な……こういう時は遠慮しろよ」
「大丈夫、緒都さんは眠ったようですし」
 そういえばと思うと緒都は完全に寝ている。
 さっき身体を拭いた時には起きていたのだが、気持ちよくなって眠ったらしい。

「もう夕方ですよ。夜にはこれくれと言ったじゃないですか」
 そう言われて見せられたのは、永哩が明日中に必要だと感じていた書類だ。

「分かった分かった起きる」
「気分爽快ですか? やっと思いを?」

「朝一から襲わせてもらったんだよ。思わず告白したら、告白され返された」
 永哩はそう言って笑う。あれは自分もびっくりして完全に目が覚めたものだ。

「そうでしょうね。最初から緒都さんはあなたのこと好きでたまらないって顔をしてましたし、貴方は思いもよらず親切してたし、両思いだったんですけどね」

「なんだ、知ってたのか……ちくしょ」
 永哩は服を着ると、寝ている緒都にキスをする。
 んんっと動いた緒都だったが起きはしなかった。
 そんな緒都を見て永哩は幸せだった。

 緒都が居る生活。
 そんな二年間から、今度は恋人同士という関係で、新しい日々が始まる。