「初めてだから」-9初めてだから間違えたっていいんだよ
キスをするのはいつものことになってしまった日常。天野は塚本のキスが好きで求められると答えてしまう。そうするのは学校のちょっとした人がいないところだったり、誰もいない教室だったり、いろんなところでキスをしていた。
「ん……は……」
今日もまた移動教室で授業が終わった後、片付けをしていた天野を手伝って残っていた塚本が天野にしかけていた。最初はこんなところでと毎回天野も思うのだが、どうしても一回キスされると流されてしまう。
今日はそのキスがなんだか違った。身体がどんどん熱くなるのはいつものことだが、天野はあそこが勃ってしまったのだ。
「ん……だめ」
やっとの思いで塚本を引き離す。
「どうしたの?」
塚本が怪訝な顔をして天野を見る。天野はその場にへなへなと座り込んだ。
「な、なんでもない……もうだめだから」
「なにが?」
天野はなんとか塚本に教室から出て行ってもらおうとするも、塚本は離れない。しゃがみ込んで顔を覗き込んでくる。
「あ……」
勃ったなんて言えない。恥ずかしくて言えず黙っている。その顔は赤くなっていて、すぐに塚本は天野がいまどういう状況なのか悟ったらしい。
「ああ、なるほど。ここね」
塚本はそう言うと、天野の股間を手で押さえた。
「だ、だめ!」
押さえたところを塚本がぐっと握ってきた。そして柔らかく触ってくるのだ。そんなことされたらもっと恥ずかしことになってしまう。
「ん、キスで感じてくれたんだ。嬉しいな」
塚本はそう言って、さっさと天野のズボンのベルトを外し、一気に下着まで引き下ろす。
いきなりのことで天野は動転した。
「な……っ、なにを!」
さっと足を閉じて隠そうとするも間に合わず、塚本に足を押さえられて大きく開かれてしまった。だから天野の勃ったものがしっかりと見えるし、少し密を零しているのもバレてしまった。
「やだぁ……」
恥ずかしくて死にそうなほど、顔を真っ赤にして天野は抵抗するもしっかり足の間に塚本が身体を入れてしまったから閉じられなくなってしまった。
「大丈夫、ちゃんと達かせてあげるから」
「へ?」
塚本はそう言うと天野自身を掌に包んでゆっくりと扱きだしたのだ。
「だ……っ、ああ!!」
他人に触られたことがないそこを他人の手でされる。それは自分がする時よりも気持ちよすぎて一瞬で抵抗が出来なくなってしまった。ここまで気持ちいいのは初めてで、でも恥ずかしくて天野は両手で顔を隠してしまった。
「天野」
塚本が呼ぶ。呼ばれたことで指の隙間から塚本を見ると、彼はなんと跪いて股間に顔を近づいているではないか。
「ちょっと……!」
「ん、なんだか美味しそうだから、いただきます」
塚本はそういうとあーんとしてぱくりと天野自身を口に含んでしまった。
「ああああ!!」
強烈な快感が襲ってきて天野は仰け反った。頭の中が混乱する。自分自身を塚本が咥えている。それだけで眩暈が起きているのに、この快楽はなんだろうか。
「あぁ……ん……あっ」
塚本が舌をも使って舐めあげてくるからゾクゾクと背中によく分からないものが走りまくる。
気持ちよすぎて腰が揺れる。欲求がたまっていってこのままじゃマズイ。
「だめ、おねがい……」
どっちなのか分からない言葉を発した天野に塚本は天野自身を舌で舐めて言うのだ。
「ん、達っていいよ」
そう言うとまた咥えて今度は激しく上下に吸い上げていくのだ。これには天野も甘い声を上げるしかなかった。
「や……ああああ……ん……はあ……」
どんどん熱があそこにたまっていく、もう少しで達きそうになっているのだが、塚本は離してくれない。だめだと思っても射精したくてたまらない。
「ん……だめもうだめ……いっちゃう……!」
天野が悲鳴に似た言葉を発したと同時に熱が弾けた。ドクドクと流れ出るそれを塚本が吸い上げていく。少しこぼれたものも綺麗に舐め取ってやっと解放された。
「あ……ん……」
達した後はもう脱力感しかなく、指すらも動かせない。こんなこと自慰をした時だってない。人にされるとここまで違うのだと天野は身をもって体験したことになった。
塚本は天野が出したものを飲み込んで、にっこりとして言う。
「ごちそうさま」
満面の笑みで言われて天野は塚本を睨む。
「……なんでだよ、もうやだって言ったのに」
そう文句を言うと塚本は上機嫌のままで綺麗に脱がした天野の服を綺麗にもどしていく。そして着せ終わると天野を抱きしめた。
「すごい可愛かった。天野の達くところ色っぽいってもんじゃない」
そんなことを言われても天野には分からない。自分がどんな顔をしていたかなんて自分で分かるわけがないからだ。だが塚本が上機嫌だからそれほど悪いものではないのかもしれない。
「こんなところでもうするなよ」
人にバレるのは困るのでそう言うと、塚本がにやっとして言う。
「またやってあげる、今度泊まりにおいで」
その誘いに天野はドキリとした。塚本が言っている意味はちゃんと分かっている。最後までしようというのだ。今日くらいでは終わらないし、学校でやるわけにもいかないからだ。
「……優しくしてくれる?」
一応男同士であるし、どうセックスするのかは勉強したというか耳年増な久保に聞いてしまったので知っているが、やはり怖いものはある。そういう不安を込めて言うと塚本は天野を抱きしめて耳元で言った。
「最高に優しくしてあげるよ」
その言葉に天野は顔を真っ赤にして予鈴が鳴り終わっても顔を上げることすら出来なくなってしまったのだった。